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2014年10月8日水曜日

カセットへの宣伝録音

年に数回、カセットテープにアナウンスなどをエンドレスで録音してくれと言うニーズがある。
まぁ・・選挙の時の投票広報とか、まぁパチンコ屋の開店セールの宣伝などもそうだよね・・車で「ガー!」つって・・

さて、この用途にエンドレステープのカセットを持ってくるクライアントがいる。
が、高い上にバックにグラファイト系の潤滑剤が塗られているのでピンチローラやキャプスタンに良くないことこの上ない。
おまけに回転精度も悪くなるし大体がうまく切れが良く録音など出来るのもではない。
で、10分テープなどを用意してもらうことになる。
これを実際に録音する機材で回して、実録音可能時間を計る。前後のリーダー部分の長さも計算に入れてね・・

BGMありかどうかも含め、アナウンス1クールを録音する。

仮に実録音時間が片面5分25秒とする。
1クールの録音が55秒だった。
5分25秒÷55秒=5.909090.....

う~ん・・6回は録音したいな・・と思うよね?ね?

でだ・・5秒の余裕を持って5分20秒で6回と計算。
320秒を6回で割ると53.33秒・・まぁ割り切って53秒だね。

55秒を53秒にDAWのタイムストレッチ(あ~コンプレスか・・)機能を使って合わせ込む。

で、片面分320秒に55×6=330秒で合わせても良いんだけれど・・

いずれここでDAWで片面分を時間を合わせて作り込んでしまうと、あとはカセットの両面に録音するだけ・・
倍速録音のカセット持っているなら、一気に倍にしておくと言う手もあるけれど・・

これで複数の宣伝テープをリバースしたときに間抜けにならない綺麗な録音が可能になる。

まぁ・・あまりやりたい仕事というわけではないけれど・・浮き世の義理もあらぁな・・

ついでに

さて、いよいよPAではほとんど使うことのないMSマイクの話をしたい。
MSといっても危ない世界の話ではないので期待しないように・・

でだ・・MSマイクにはノイマンやらAKGやらずいぶん高いマイクが揃っていて、それ故PAカンパニーでは持っていないところも結構あるかと思う。
金のある小屋ではあるところもあるけどね・・
で、ノイマンなんかでも専用のマトリックストランスを使って・・などと推奨事例には載っているが、帯域は狭くなるしノイズは乗りやすいしで、結構難儀な代物。

で、MSマイクの理屈を知らない人に概略を説明。

��=モノラルないしはミッドを意味し、S=ステレオないしはサイドを意味するはず・・ちょっと正確な記述は調べてからね・・
��には単一指向性のマイクカプセルを、Sには双指向性カプセルを使用して同軸上にお互いに90度の角度でセットしたマイクのことを言う。

使用法としてはMのカプセルを正面に向けSのカプセルが真横を向く。

正面を向いたMカプセルの信号をL+Rとして考えると、真横を向いたSカプセルのL側を向いた方をホットにして考えた場合、Sカプセルからの出力はL-Rと考えることが出来る。
で、これをマトリックストランスを通すことでLとRを取り出すことが出来る・・と言う代物。
でもよく考えると、このマトリクス、そんなに複雑なわけではない。

要するに、M=L+R S=L-Rのとき、

 M+S=(L+R)+(L-R)=2L で左信号を取り出せる。
 M-S=(L+R)-(L-R)=2R となり、右信号を取り出せる。

この計算式のとおりの信号合成をトランスで行っているのがマトリックストランス。

でもこれってミキサーでも出来るじゃん!

Sの信号を2パラにしてモジュールに振り分け、Sの正圧側をLに向けたらそちらを正相。もう片方を逆相にすると、Mマイクとのレベル調整で見事にMSマトリックスはできあがる。Sをステレオモジュ-ルにすると言う作戦もありだな・・もちろん逆相コネクタありでね・・おっと、もちろんMはパンはセンター。LRはパン振り切りね。

これによってトランスレスでマトリクスが組める。MとSのバランス調整で広がり感が調整可能だし・・
後はバランス感覚だな・・

さて、MSマイク。
近年のクラシック録音の基準マイクの一つではある。これを中心に、ステレオバーでA-Bマイクをセットし、これらのバランスで定位と臨場感をバランスするという手法が多用される。

��Sマイクは定位に優れているがX-Yほどドライなイメージにはならない。
それ故、A-B特有の位相差の強く出た(リサジューは結構すごいことになる)音に芯を出す効果で使うようだ。

さらに、MSマイクが高価で使ったことがない!と言うあなた!
87もしくはその亜流の安価なコンデンサーマイクでも、近年双指向性を選択できるものが増えた。
なら、これらを2本使い、カプセル突き合わせで上下にひっくり返してセットすると同じ効果を期待できる。
お試しあれ!

��-YともA-Bとも違う独特のワンポイント感が得られると思うよ。

雷と言えば

 さて、アコースティック楽器特にクラシック系のものを録音する機会は、ホール系の仕事をしていると結構ある。

 そうは言っても商品レベルのものとなるとそうそうざらに機会が転がっているわけではない・・

 で、あるときFlute Duoのレコーディング話が転がってきた。

 う~ん・・Duoっすか・・

 自慢じゃないがうちの小屋はSNが良くない・・なんせ空調が動いているとNC値で50にも迫ろうかと言うほどだ・・

 時期は真夏・・

 まぁ、レコーディングの間は空調を止めましょうと言うことで、引き受けることに・・

 以前のレコーディングの時の話を聞いてみたらA-Bワンポイントが多いみたいで、さてどうやろうか・・

 定位感と臨場感を併せ持った録音となるとMSとA-Bを併せて使うのがよくある手法。
 折角ホールを使うので一番の基準を客席側に設置したワンポイントにしようと言うことでNT2ペアを客席内に。

 UM92Sをヘッド突き合わせにし、一本を双指向にして2分岐し、一本を単一指向にすることで、ミキサー上でMSマイク構成にした。これは演奏者から2m弱くらい・・

 さて、そのMSをはさみ、1.5m位の間隔でTC-30KをA-Bペアにして設置。
 さらに3m位演奏者から離れてPCC-160を設置。

 これらすべてのマイクをノイズマイク基準でディレイ処理する計画。
 DA-88が2台あったのでこれを同期運転して16chとし、今までの8本のマイクすべてをいれ、さらには逆サラウンドとでも言うべき方法でサラウンド収録も行った。

 これは5.1の5のスピーカー位置にマイクを立ててみようと言うやり方・・

 これで13chのソース。

 ディレイ処理はDA-88のディレイ機能を使いミックスダウンはあくまでミキサー上で。
 その2chマスターをProToolsII(ふ・・古い!)へ送り、ノイズ処理とノーマライズを施して仕上げようと言うもの。

 概ね順調に録音は進んだ・・

 が、あとから青くなったのが、雷によるスパイク状のノイズ。
 夕立があったので雷が鳴ったらしい・・
 おまけにその夕立の音も結構ホールに・・

 あと、ご当地名物の風の音にも悩まされた・・

 デノイズソフトの類い・・確かにある程度ノイズは落せるが、音が変ってしまうのよね・・ましてProToolsIIの時代のデノイズソフトは結構顕著にでる。

 折角の生フルート・・あまりいじりたくは無いよなぁと・・気を使ったのだ・・

 今ならTracktionを使うし、PowerCoreのデノイズを使えるのだけれど・・当時はなかった・・

 さて、録音系としては確かにこれで出来た・・

 が、どうも生音の響きがスムーズでない・・
 これがうちの小屋の欠点ね・・舞台上の音とホールの音がシームレスとは行かないのよ・・その境目はMSとA-Bを設置したあたりなので特に良く聞こえる。

 そこで仮想反射板システムのお出まし。

 これによって演奏者への一次反射とホールと舞台との響きの結合を行ったら、良い感じに仕上がってきた。

 そう、仮装反射板システムはこういうニーズでも使えるのだな・・

 どんなに優れたリバーブマシンがあろうと、やはり生の音自体が気持ち良くつながらないと集音した音にも影響が出る。
 ここで、建築音響の限界を若干なりとも突破できると楽になるのよね・・

 気力があるときにこのシステムの続きを書くので、使えるようならご参考まで・・

あると便利?

 さて、FFTソフトなどが普及して、ディレイ合わせは以前より簡便にはなったが、本質的にドライソースを元に計測すると言う性質上、アコースティック楽器の録音などでは使い難い。
 勢い、録音してから合わせる(マルチ録りの場合)事が多い。

 が、打楽器系が最初に入っていると楽なのだが、それとて単一の演奏でないと合わせ難い。
 そして、通常如何に打楽器と言えど、共鳴部分などを持っているので複雑な波形になるのよね・・

 ミュージシャンのいる現場でパルス系の音も出したくないしチョット気分がめげる音・・

 で、拍子木を自作した・・(といっても近所の木工所に作ってもらったんだけど・・)

 桜材で片面をフラットに、もう片面をRをもたせてもらったのだ。長径方向にも幅方向にも・・

 通常の拍子木は角材状に加工されているのでよほど上手に叩かないと複数の音を出してしまう。
 が、丸く加工してあると交差するようにして叩くことで単一の音を出しやすい。

 これでディレイ基準の音を最初に録音してしまう。

 桜材なので気持ち良い音がするし、以下にも仕事始めって感じで存外評判も良い。

 さて、こいつを使って一番最初に使ったのが、吹奏楽の録音。

 木管系にタッチマイクをペアで用い、三点吊りと客席内のノイズマイク・・というよくあるセッティングなのだが、客席内のマイクからの録音の波形を見ていて驚いた!

 メインの大きな波の前に小さな波が来ている・・

 最初は「?」っと、悩んだね・・
 生音より早く届くはずは・・
 まぁその後の大きな波が生音だと最初思っていたのよね・・

 で、はたと気が付いた・・要はこの小さな最初の波が生音なんだ!!・・
 と言うことは大きな波は一次反射か!・・
 と言うことは普段我々が生音だと思って聞いていた音は殆ど一次反射だったと言うことか?

 これがいわゆるホールの音と言うことで、実は生音ではなく一次反射の音を聞いていたと言うことなんだな・・

 と、拍子木の自作で気が付いたのさ・・

 まぁ拍子木、一つくらい持っていると何かと重宝するので皆さんも如何ですか?

うわ~パンクバンド!

年末も押し迫った28日・・
本来公共の小屋としては仕事納めの日に、イベントがあった。
カラオケの部とバンドの部・・
そのバンドの部にパンクバンドが二つも入った・・

いや~・・小屋のシステムを入れ替えて以来、最大音圧を記録したことは間違いない・・

客席後部であるミキサー席前で平均音圧94db・・
お客様にはお年よりも多かったので気を使ったぜぃ・・

地元のアマチュアバンドゆえ、ドラムチューニングはめちゃくちゃ・・仕方ないので調整しなおし何とか使えるように・・

バンドのメンバーにはたとえモニターがすっ飛んでも演奏できるように、ステージ上で他のメンバーの音が聞こえる程度の音量にしてね・・と要望・・

リハではそれなりに聞こえていたモニターも、本番ではやはりあがった音圧に聞き取りが難しくなったみたい・・かなり上げたんだけどね・・

前音はノープロブレム・・

システム更新のときにロックバンドでも何とか対応できるものをと考えた狙いはばっちり・・

さて、パンクバンドといっても、ギター2本とか非常に帯域的にぶつかり合う楽器が多く、その分離を確保するのに往生した。
まぁ、今回はうまくいったと思うのだけれどライブハウスのように狭い会場ではもっとタイトな追い込みをしておかないと厳しいかなと感じたなぁ・・
今回は主催者も初めてのことで、進行から指導しなくてはという部分もあって大変だったが、次回以降はもっともっと楽しいライブにしたいと一年を振り返る意味で面白い経験をさせていただいた。

とはいえ・・この歳でパンクをオペするとはおもわなんだ・・