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2014年10月8日水曜日

ミキサーの悩ましさ

はてさて、音響技術者の花形というか、コンサート会場などででんと中央に座っているのは俗にミキサー、詳しく言うとミキシングオペレータ、あるいはミキシングエンジニアとよばれる人たちですね・・
やっている作業は各楽器の前のマイクロホン(直結の場合も)からの音声信号を「ミックス」(ミキシング)をしているわけですが・・
んで、彼らの前に置いてあるでかいつまみだらけの機材・・これもミキサー(あるいはミキサー卓、ミキシングコンソールなどとも)とよばれます。(まぁ最近つまみの少ないデジタル卓も増えてますけど・・)
まぁ音声信号をミックスするための機材と言うことなんですが・・

確かにミキサーというのは電気回路的にはサミングアンプ(加算回路)の化け物で、各入力回路の信号を加算しているのですけれど、実際に音楽的に、あるいは音場制御的に何に腐心しているのかというと、「如何に混ぜないか!」・・なんですよね・・
定位、中心周波数帯、マイクアレンジなど、如何に音が混ざらないかに細心の注意を払っている・・
なのに「ミキサー」・・

非常に皮肉というか、初心のうち、大変に混乱させられるところでもありますね・・
かといって別の候補はといっても定着したものはなかなか・・いまさら音声調整卓つっても・・定義としてはもっとも正しそうですが・・^^;;

PAの原則

そもそもPAの仕事って本来的には拡声。
何を?声か音楽を・・
だから音楽は音楽家の仕事。プレーヤーの領分なのよね・・
もちろん、俺は音楽家だ!と公言する音響屋さんもいるけど・・
否定はしないけど原則はっというとやっぱり音楽は音楽家が完成すべき事項なんだよね・・
なぜって?停電しても音楽は止めるべきじゃないから・・

なんていっても電気楽器の多い昨今では難しいけど・・ドラマーがいればつなげるよね?
ステージ上で音楽家は音楽を完成する。それを色も付けず聴衆に届ける・・これがPAの基本型。

だから理想的にはリスナーからは透明になるべきなんだよね・・
もっとも透明になりすぎるとPA要らないじゃないか!っとお金を払ってもらえないと大変なんだけど・・

まぁこれらをしっかり理解しての上で音楽家と協力してよりクリエイティブってのを否定するわけではないけど・・
基本が出来てないのを、俺はクリエイターだってのはちょっと・・

おっと、もう一つ

こんなブログ・・見ている人がいるのかどうか・・コメントもつけにくいかも知れないしね・・^^;;
ということで、ちょっと宿題というわけでもないけど、こちらから疑問を投げかけてみたい・・暇なときにでも考えてね・・

通常システムの設計をするときにもカタログを見るときも音圧と言うことを気にすると思う・・
でも音の大きさ・・豊かさ・・って音圧の問題なのだろうか?
管理者の子供時分、ようやく買ってもらった家具調ステレオで「おお~!すげ~!」と感動したような豊かな音が今得られているか・・というとちょっと疑問・・
4560などの時代に感じた音量感が今のシステムで出ているんだろうか・・ちょっと疑問・・
間違いなく音圧は出ているんですがね・・

さて、生音と言うことを良く評論家諸氏は仰るが、楽器から何メートルの位置とか、壁から何メートルの位置に置いた場合とか、生音の基準はあるのだろうか?
演奏者として確かに自分の楽器の音はある程度以上把握しているんだけど、それはリスナーの聞いている音だろうか?

そもそもマルチ録音に生音っていう概念は持ち込めるのだろうか?あのマイクセッティングの位置で聞いたことのある人は何人いるのだろうか?そもそもキックのマイク位置で人間は音を聞けるのだろうか?
それを言うならワンポイントでも生音って言っていいのだろうか?
収音位置での音・・って主張するならちょっと分かる気も・・

生楽器は総じて点音源的な振る舞いをするのだが、演奏者によって到達距離が違うと言う事実はどう解釈するのだろうか?で、仮想的にでも点音源は成立するのだろうか?

生音が一番優れた音だとして・・今の1000倍(音圧換算30dbアップ)の音量がある生楽器があればアリーナでオケや弦のソロは成立するのだろうか?

ラインアレイは確かに優れたシステムだけれど、絵的に違和感を感じないか?つまり楽器との距離など)
それといつ聞いてもちょっとフェイジングっぽい音がする・・まぁきつくなくていいのだけれど、皆さん気になりません?

音の大きさ=音圧×速度(微妙に違うか?)

はてさて、昨日ちょっと書き込んだことの一つをもう少しつっこんで考えましょうか・・実務に関係ねぇ・・などと言わずに・・実はちょっと関係したりするのよ・・

さて、音響学や物理学の本を読むと、音の大きさとは空気の圧力変化量と速度変化量の掛け合わせたもの・・と出ています。
ん?音圧(空気の圧力変化量)じゃねぇの?と思った方!鋭い!
音の大きさは、音圧だけではなく、速度成分でも決まるのよ・・どう違うのかが難しいんだけど・・

このことはダイナミックマイクやコンデンサーマイクと、リボンマイクの特性の違いにも端的に表れるのですが、実はスピーカーの到達距離にも関係します。

もっとも、厳密に分離測定することが難しいし多分に私の個人的感想も含まれる話なので、話3割くらいに間引いて聞いて欲しいのですが・・

非常に皆さんになじみの多いスピーカーでまた普及もしているSX200と言うスピーカー。コンパクトなボディによく設計されたエンクロージャも相まってコンパクトな会場での主力スピーカーとして、またモニタースピーカーとしても大活躍しています。
もちろん大会場でのハウスとしても結構使えないわけじゃない・・アレイ組みしてね・・
けれどサイドフィルなんかに使用したとき、微妙に10mくらいのあたりでエネルギー感が無くなる・・聞こえてはいるんだけど・・と言う経験はありますよね?
どうして?

1mあたり音圧は100dbほどと十分な感度はあるし、パワーも瞬間なら1200w位は突っ込める・・よってピークで128dbは稼げるはず・・これはハウス用の大型スピーカーに遜色のない数値のはず・・指向角も65×65で広すぎるわけでもない・・

まさにこの10mくらいのところが音圧型の音場構成から速度型音場構成に変わったポイントなのだと私は感じています。(SXにおいてと言う条件付きね)
一般にPA系の仕事をする人が好む音ってこの音圧主導型の音場であって、この音場がより遠くまで使えるスピーカーがHOUSE用、あるいは野外用に用いられる条件になっているんですね。
より遠い距離でも音圧型として到達する。
やはり大会場用の大型スピーカーは意味があるのですよ。

これは実はPAでのコントロール下にある音場ともいえます。
速度型になると途端にEQの効きも甘くなるし、フェーダーに対する反応も鈍くなるのよ・・まぁよく言うがつんと来る!という範囲。聞こえ感がしっかりある。
この範囲を超えるとすべてが甘くなります。まぁここまで離れるとライブ感が薄くなるので聴衆のおしゃべりとかも増え出すんですがね・・ロックフェスなんかでは寝転がったりして楽できると言えばいえるか・・な?

で、仕事として考えた場合には、如何にこの音圧型音場を金をもらっているすべての場所にサービスするか・・がテーマになるわけです。

この音圧と速度の関係・・まだまだたくさんの課題というか、検討すべきテーマが寝ています。時々話題に振ってみましょう。

おっと!ここで使った音圧型音場、速度型音場は私の造語です。現場で問題点を考えるときに整理しやすいので便宜的に使っているので、公の場で使ったりしないよう・・恥をかきますよ・・^^;;
ましてや音響学者さんなどに向かって使わないように・・

生楽器とPAの悩ましき関係

本来的に生楽器にはPAは要らなかった・・という歴史的問題が大きく横たわっているということを前提に、それでも最近ではアリーナでクラシックなどと言うとんでもないイベントも経済的要求から行われるようになった昨今・・やはり生楽器とPAの複雑な関係を考察しておくことはプランナーにとっていつでも大事なことだと思う。

さて、ここで個人的な失敗談を挟みつつ、皆さんにも考えていただきたいのだけれど・・

昔、北欧からお出でになった女性ジャズピアニストのオペを担当した。
小さな150人程度の会場。
ピアノソロなので大げさなことは要らないがクオリティはきちんと出さなければいけない仕事。
ハウスにSX-200を2対抗。モニターは無用とのことで無し。

プロモーター兼調律師の方に軽く弾いてもらって演奏者に出音の確認をしていただいたところ、大変に気に入っていただいた。
ほぼ満席の状態でスタート・・

が、くだんのピアニスト・・妙に力んでいる・・必死に鍵盤を叩き、いかにも弾きにくそう・・リハでは決してそんなことはなかったのだけれど・・

休憩時間に様子を聞きに行くと「私のピアノが鳴らない!」と悲痛なご意見・・
いろいろ考えてハタと気がついた!
そっか・・ハウスの回り込みが生楽器と逆相なんだ!

リハでは客席反射が大きく逆相成分が消えていたのに本番で満席だったので客席反射は減少し、相対的にスピーカーからの直接の回り込みがピアノの生音自体を逆相で消してしまったのだ・・
まぁハウスにはきっちり出ているのでまるっきり消えているわけではないが、演奏者の聞いている自分の楽器の音が貧弱になった・・と言う状態だな・・

すかさず位相を反転して後半は問題がなかったのだけれど・・
出音としてはほとんど変わりがない・・と言うところが怖いところだね・・

まぁ、この事件をきっかけに、生音と反射音との相乗関係、ディレイを駆使した整合集音、そして今も使っている仮想反射板システムへと考察するきっかけになったのだけれど・・

生楽器と空間とのやっぱり悩ましき関係

さて、今回は電気には全く関係のない話。
ギターでもヴァイオリンでもドラムでも、演奏会場によって全く音が変わる・・と言う経験をされていると思う。

さて、ここでこの音が変わったという現象・・誰の立場からなのか今少し考えていただきたい。

一番直ぐに気がつくのはリスナーとしてのもの。
あそこのホールは響きが良いとかよく話題になる。評論家諸氏もよくこの立場でものを仰る。
リバーブマシンの設計などもしばしこの立場で行われ、俗に言うアーリーリフレクションなどももちろんこの立場からのものだろう・・

さて、じゃあほかの立場って言うと、演奏者。
演奏者の場合、強大な自分の楽器の発する音環境の中での他の楽器とのバランス・・を考えざるを得ない。よって自分の楽器音と他の楽器とのバランスを考えるときに、舞台上でのアーリーリフレクションが極めて重要。
フロントサイドの張り出しによる反射音なども演奏を助ける情報となる。
このアーリーリフレクションによって、自分の楽器の音色が完成する。その会場でのセルフイメージでもあるわけね・・これで「あたしの音色・・」と言うものが完成し、演奏に専念できる。また、この音色によって演奏イメージがふくらんだりショボくなったりする。
だから極めて大事。砂漠なんかでヴァイオリンを弾いたらえらいことになるよね・・そんなことする奴はいないと思うんだけど・・
で・・残響はたぶんフレーズのエンドなどで意識されるけれど、普段はあまり考えていない・・
もちろん、スタッカートで弾いたり、あるいは楽音自体がパルス性の強い楽器の場合は1音1音に残響がつきまとうのだけれどね・・原則は一生懸命にフレーズをこなしているときは取り敢えず直接の楽器音、フレーズのエンド部分で残響が強く意識されることが原則だろう・・まして、早いパッセージを弾いているときなんかはね・・
よって、少々の残響の変化より、アーリーリフレクションがいかに自分の楽器を気持ちよく響かせてくれるか・・の方により関心が強かろうと思う。
通常のホールからサントリーホールなどの舞台天井の高いホールに移ると演奏にとまどいが生じる・・と言うあたりもまさにこの舞台上のアーリーリフレクションの変化による。

が、この立場からのアプローチを取れるホール設計者、機材設計者が非常に少ない・・生楽器の音表現にとって極めて重要であるにも拘わらず・・だ。

さらにもう一つの立場を提唱したい。

そう・・楽器そのものからみた音環境・・

生楽器である限り、形状と重量からくる固有の共鳴モードをもつ。
それに加え、演奏自体で共鳴周波数はどんどん変化する。
ここで問題にするのは自分の出した音が自分に返ってきて自分自身をさらに共鳴させる・・というループ的モードのこと。
つまり、会場によって楽器から出る音自体が変化するんですよ・・ということね。
これは無響室でのヴァイオリンの音を聞いたことのある人なら素直に納得されるのではないか?
もちろん、このときの楽器音の変化にもっとも影響が大きいと思われるのが、やはり舞台上でのアーリーリフレクションであることは言うまでもないですよね・・
もちろん、PAがある場合はその返しや回り込み(これは別スレッドで解説済み)も影響する。
また、ホールによってスタジオによっても音は変化する。
この影響は演奏者自身が想像する以上のものがありそうだ。

従って、音の良いホールって、残響だけを問題にしても、また、客席でのアーリーリフレクションだけを問題にしても駄目なのよね・・
ここらへん、まだまだ考察が足りていないように感じる。

つまり、楽器と演奏者のための一次反射設計思想を持たないと、良い演奏、良い音・・は出来ないのよ・・これを客席側だけからの設計アプローチを取っていてはいつまでたっても安楽器を良いホールに持ち込んだ・・みたいな現象が発生しかねない・・

良い楽器環境、良い演奏環境、そして良い聴取環境がそろって初めて演奏者にとってもリスナーにとっても幸せな音楽環境になるのではないだろうか・・

日本語と邦楽器

さて、前回日本語は難しい旨ちょっと書き込んだのだが、なぜ難しいのか、考えてみようかな・・
かの有名な角田忠信氏の「日本人の脳」によると、日本人の脳の使い方は非常に特殊で、楽音が右、言語が左で処理するのは共通としても、動物の鳴き声、邦楽器などがことごとく左に入ってくるという話です。
これによって右脳と左脳で別途に処理されるべき邦楽器等がかなり言語脳に浸食してきて、歌や台詞の言語理解を妨げてしまうのです。
ですから、相対的に歌や台詞を大きめにしないと聞き取れない・・と言う現象が発生します。
一般に英語圏のCDに比べ、日本のCDの方が歌が大きめに録音されているのもそのためです。
また、日本語は母音全部に意味があり、かつ音素にすべて母音が含まれます。
よってこの母音成分の聞き取りが明瞭でないと日本語にならない・・と言う問題があって、これがベルカント唱法がどうしても根付かない原因です。
ベルカント唱法は母音部分を完全に楽器化することで非常に声量を稼いでいるわけですが、これは母音を壊しています。
ヨーロッパ言語は子音だけが聞き取れると言語として成立しますので、これでも十分に楽しめるのですが、日本語では大変なことになってしまうのです。

これはまた日本人がスピーカーにプラスアルファとしてツィーターを足す・・という行動の裏付けのなっているのではないでしょうか?
日本語の母音は大変に少ないのですが、それ故聞こえないと全く日本語として成立しない・・と言うことですね。
拡声の際にも十分に意識しないといけない部分です。

よって、西洋音楽に邦楽器が入ってきた場合、その会場が日本国内なのか、海外で日本語ネィティブ以外の方を相手にするのかでたぶんアプローチを変えないといけないんだと思います。

日本語の歌詞+邦楽器+日本人の聴衆=もっとも歌を上げる。
英語の歌詞+邦楽器+日本人の聴衆=これも歌を大きめ(左右の脳の問題)
日本語の歌詞+邦楽器+ヨーロッパ言語の聴衆=ちょっと歌大きめ(母音識別)
英語の歌詞+邦楽器+ヨーロッパ言語の聴衆=歌はほとんど他の楽器と同レベル

まぁあとどう具体的に対処するかは各人のセンスでどうぞ・・と言う部分なんですがね・・

あ~・・ヨーロッパ言語のと言いましたが、正確には日本語以外の言語・・とするべきだそうです。
朝鮮語、モンゴル語など、言語学的には同系統と言いますが、脳機能的には全く違うみたいですねぇ・・

日本人の音嗜好(指向?)

ちょっとお休みしてました。

さて、アルティックの名機A7でオペレートした経験のあるエンジニアはたくさんいると思う。かくいう管理人も学生時代の実習ではこれがハウスシステムだった(FBはボーカルマスターだったな)。
このスピーカー、元々はシネマ用途に開発されている。よってスクリーン越しに聞いてちょうど良くなるように設計されている。
これを日本人はいい音や~つって直接聞いているんだな・・
で、おまけにこのスピーカー説明書には万が一ツイーターが飛んだときは、ウーハーをフルレンジで聞けば間に合うみたいなことが書いているらしい・・(未確認)
いくら何でもウーハーをフルレンジで・・とは思うのだが、結構真剣らしい・・
というのも、英語という言語は子音の占める割合が特に高く、シビランスの強調されやすい言語なのだと。また、そこを聞くことで英語の聞き取り能力も上がるのだとか・・で、こういった成分ならそこそこ確かに聞こえては来る・・

が、この状態(ウーハーだけのフルレンジ)で日本語で喋ると何が何と喋っているのか、ほとほと聞き取りにくいったらありゃしない・・

これがまず前振りの一つ。

日本という国の基本的な音環境。
まぁコンクリートジャングルである都市部はここ一世紀内の話なので、もっと古い時代からの遺伝子レベルでの話。
日本という国は地質学的にはずいぶん新しい国で、海溝沿いの国土なので基本的には火山国。
広葉樹林帯の面積が広く、腐葉土による柔らかい地質のところが多い。これは低音成分がよく吸収されることを意味するよね。雪なんか降ったらなおさら・・
建築材も檜や杉が好まれるため家屋構造も吸音性の高い材を伝統的に使っていたし、なにより障子、襖といったほとんど遮音性を有しないものがしきりとして使われている。低音に関しては特にね・・
よって、日本での伝統的家屋での生活では低音の少ないすっきりした印象の音環境になることが容易に想像できると思う。
これは比較対象としてヨーロッパに多い石を使った場合と比べてみて欲しい。

そう言う低音の少ない日本でたっぷりの低音を聞く機会・・というと、地震・・津波、洪水、なだれ・・雷・・と、ろくなものがないのよ・・

だから日本人の遺伝子には低音を忌避し、高音を好むものが組み込まれてしまったのではないかな・・

その証拠に伝統的邦楽器に低音楽器はない・・太鼓くらい?
その太鼓もドロドロと気持ち悪いシーンに使われているし・・^^;;
歌ものも、みんなテカテカしたハイトーンの歌手が売れている。しっとりと渋い低音で・・なんてのはほとんどヒットチャートの上には出てこない。
また、チョッパーベースの隆盛など、日本人はゆったりたっぷりしたベースが嫌いなんじゃないか?と思うくらいだよね・・

ここまでが前振りの二つめ。

でだ、先のA7。もう一つユニットを付け加えるなら何?って言う質問をしたんだと。
ヨーロッパ系はほとんどがサブウーハーを欲しがったらしいのだ。でも日本人は?
そう、もう想像が付くよね?スーパーツィーターだったのだ・・

管理人はピンクフロイド育ちなのでたっぷりした低音が好きなんだ。
で、キックは当然「ドッ!」となるものだと思っていた。自分でチューニングし演奏する場合も、そう言う音が切れよく出てくることを期待する。出来れば26インチが欲しいと思ってしまうほどなんだけど・・
今の流行は絶対違うよね?
キックの音評価で最初にアタックなる言葉を聞いたときは「え?」と思ったものさ・・

それでもスピーカーにプロセッサタイプが出てくる前、4560なんかの時代はまだ「ドッ!」が結構多かったように思う。
でも、ターボ以降プロセッサタイプのスピーカーが主流になってキックの音は「ガッ!」に明確に変わったようだ・・

この音が主流になってからキックのビーターもハードタイプが主流になったし、キックへのアタック収り用のマイクを追加するってもの一般的になってきた・・

まぁプロとして仕事をする限り、クライアントの好む音を作ることに異議はないから、いくらでもそう言う音に仕上げてやるんだけど、自分のドラムの音としてならあり得ないなぁ・・

で、とうとうキックのサイズが下がりだした・・今は16インチなんてのも・・こりゃフロアータムを寝かせてもいっしょだな・・と思うんだけどね・・
26インチが欲しいなんて思ってた時代はどこに行ったんだろうか・・

さて、斯様に高音指向の日本人。結局新しい最先端の音・・音楽・・って思っているものでも、かなり古い時代からの音センスがまとわりついて抜けないものなんだね。若いモンも意外と律儀に伝統守ってんじゃん!・・と、おぢさんは思ってしまうのだ・・

こうしたことから敷衍して考えるに、超低音騒音問題は日本人にとってかなりのストレスなのだろうね・・

スピーチについてのもう一考

なんでかな?前回の投稿がダブってしまい、かつ削除できない・・管理画面上では削除しているんだけど・・

でだ・・スピーチについてもう少し考えてみたい。

スピーチって・・英語で言うと音響屋的には基本中の基本すぎて、別に音楽バランスなんてこともないし、定位や帯域の振り分けを気にする必要もない・・ということで結構軽く考えてしまうことが多いというのは否定しにくいと思う。
で、正しくPA(パブリックアドレス:構内拡声システム)なんかはエリア内で音圧を規定以上出るようにすればいいだろう・・みたいな安易なシステムが多いのは否めない。

昨日のニュースで地震予報システムの予備実験を行ったところ、病院内のロビーで多くの人が何をしゃべっているかわからなかった・・と回答していたあたりに如実に現れているような気がする。

実は人間が人間として発達した一番の基本は言葉の獲得である。
これによって、正確に意思と知恵を伝えることができるようになり、コミュニケーションの質が非常に高度になったことが一番なんだ・・
つまり、言葉が正しく、かつ力強く伝わること!これが人間としてのコミュニケーションの基本なんだ・・と言う点を、為政者にも設計者にも、システムを管理する側にも強く持っていただきたい・・というのが今回最も言いたいことだ。

したがってビジュアル系システムより何よりまず考慮されてしかるべきで、基本の建物設計、内装選定などの段階ですでに音響的考察とコンサルティングがされていれば、先のような失敗例は出なかっただろう。
スピーカーだけ良いものがあればいいということではないのだな。
壁面の使い方、基本レイアウト、容積計算、暗騒音の予想(特にパニック時)、内装材による反射減衰率の予想、そしてスピーカーの設置による反射や残響の発生予測、こう言ったことが十分に検討されていればもっと明瞭率も上がり、それでいてうるさくなく、伝わるべきことがきっちり伝わるシステムができるのだと思う。そして、じつはそれは人間としての基本生活の中ですごく大事なことだという共通認識が必要なのだと思う。

四六時中垂れ流しのBGM、がなり立てることに麻痺しそうな売り込みのトランペットスピーカー、そして選挙での非常識な歪みきった音声、ああいう音を平気で出す人たちでは、コミュニケーションの基本を知っているとは思えない。
ということはパニック時にも意思疎通がとれない状態で事故を大きくするだけのような気がする。

まぁ俗にいう音響・・の話しとはずれるのだけど、自分の仕事の足下、根源を時々は考えてみたいものだね・・

デジタル卓とアナログ卓

え~・・今更デジタルがいいとかアナログでなければなどという議論をしたいわけではありません。

デジタル大いに結構と思いますし、また実際ディレイシステムやリバーブなど、デジタルなしにはなしえなかったこともたくさんありますしね。

ただ、デジタル卓に関しては、なんでポッドやスイッチ、つまみを減らすことによるコストダウンをねらったインターフェース設計がかくも多いのかという問題があるんですね。

デジタルだから悪いのではなく、安易なコストダウン設計のもたらすLive性の悪さ・・が一番気になるところです。

ツアーリング用途などで同じタレント、同じ演出でロングランを掛ける・・これならリコール機能を重視し、サーフェースを減らそう・・と言う考えも納得しないわけではない・・
けれど、地方の小屋などでは同じものは二度とやらないし、出演者すらやれない・・と言うことも多いのよね・・
まして本番ぎりぎりまで出演者が決まらない・・とか、本番中にようやく分かる・・なんてのもあるわけで・・そう言うタイトな仕事ではデジタル卓特有の階層構造は大問題になることがあるんですよ。

名古屋で中華航空機が墜落したとき、自動操縦にモード概念が入り込んでいたことが大惨事を引き起こした大きな要因であると言われました。
つまり、パニックに至ってパイロットは自分がどこにいるのか(どのモードにいるのか)が分からないまま操縦桿を操作していた・・と言うことですね。
この自分がどこにいるのかが非常にわかりにくいと言う点がまさに階層構造の一番の問題点なんですよ・・

まぁ・・人間どういうときもある・・あってはまずいのだが、二日酔いの時もあるかも知れないし、朝出がけにかみさんと大げんかして来ることも、あるいは大事な人が亡くなった・・と言うようなことだって・・
そう言うナーバスな状況、あるいはパニックになったときにもサーフェースは最良のアクセス方法を提供するべきだと考えるんですがねぇ・・

まぁアナログの畳以上に広がったサーフェースがいいかといわれるとそれもまたどうかな・・とは思うのですが・・

人に優しいと言うことを、完璧な状態の人間をベースに考慮するのではなく、落ち込んだとき、失敗の直後・・などの心理状態を想定してのインターフェースの研究を積み上げておくべきだと思うこの頃・・

ミキサーの仕事って

ビット=6db

これはPCMデジタルでのダイナミックレンジの計算を簡易的に行うときに使う換算式。
だから16ビットは96dbになる。
これはアナログレコードの30db程度から比べると十分に大きいし、問題は起こらない!とSONYとフィリップスの技術者は考えたらしい。まぁ今のCDの企画だな・・

通常人間の耳のダイナミックレンジは130dbといわれる。

これはもう何とも聞き取れない最低音を1dbとしたとき、これ以上は耳が痛くて耐えられない・・というレベルとの差・・とみんな説明している。

が、音響の現場で活躍している諸氏との話から浮かんできたこと・・

おそらく人間の耳の単位時間ダイナミックレンジは40db程度・・ここで言う単位時間とはある程度の実用的な短い時間と解して欲しい。

ヘビメタバンドを聞いた後では通常の会話70-80db程度ですら聞こえなくなるのでニュアンスは理解していただけると思う。

つまり、人間は40db程度のダイナミックレンジを弱音を聞くときにはその領域をスライドさせて聞くし、大音量時もそう・・大音量側にスライドさせて聞いているのだな・・どうも脳の中にそうしたゲイン調整のような機能があるらしい。

これがまず第1の常識の嘘

次に、アナログレコード時代を知っている人はちょっと思い出して欲しい。
仮にノイズのひどいレコードがあったとして、それに埋もれがちでも弱音部はちゃんと音楽として聞き取れた・・

仮にノイズレベル=楽音レベルであっても、音楽として成立しているのよね・・
これがデジタルならどうだろう・・特に再弱音に近いところでは?

次にマキシマム近辺で何が起こっているか考える。

アナログレコード、テープとも当然クリップし出すが、ひずみが暫時増加するにしても音がとぎれたり聞くに堪えないノイズに化けたりはしない・・
音色の変化を伴いながら音楽性を保っている・・
従ってアナログ媒体のダイナミックレンジというのは、実用域として極めて広いといえる。

さて、先般行われたFBSR会技術研修会で、1977-8年頃のMIDAS製のミキサーが実働展示されていた。
モニターとしてセットしたSXが全く暴れもなく、non-EQでボイスにチューニングされたのにも驚いたが、やはりがんがん突っ込んだときのぶ厚くなる音がものすごい。
規定の0VUで+4dbmが出るものとして、ピークががんがん点いている状態にすると+30dbmに達する信号が出ていることになる。

これを歪ませないでデジタルでカバーしようとすると、規定レベルをどこにするか・・という問題がまずつきまとう。
デジタルマックスを0とした場合、このピーク分を逆算すると、平均レベルを-30の所に持ってこなくてはいけない・・
まして、アナログはこのピークを打ってもちゃんと聞こえている・・^^;;
こういうところが悩ましいよね・・

さて、この伝で通常の16ビットオーディオを扱うと-30dbだと66dbの通常利用幅ということになる・・
また、ノイズフロア領域では楽音とノイズの判別が付かなくなる・・と言う点もあるしね・・
個人的には160db位のダイナミックレンジにならないと真にアナログを凌駕できないのではないか・・と思うのね・・
特にサミング部分などではもっとスペックが要求されるかも・・と思いますね。
なんと言っても加算部だから・・

そうそう、もう一つの利点

クラシック音楽の世界(というか特に日本ではと言うべきか)では、PAは蛇蝎のごとく嫌われることが多い。
各楽器の前にマイクを立てたりすると烈火のごとく怒り出す人もいるほど・・

まぁ気持ちとして分からないわけでもない・・

で、その一因となっているのはPAの不自然さ。と言われる。とくにマルチマイク収音でのね・・
なぜ彼らがそう感じるのか、その原因を考えてみる。

一つには再三話している前後定位(奥行き方向)の不自然さの問題。ディレイ無しで拡声するとスピーカーラインに音像が定位するので距離感が不自然になり、かつ楽器が巨大になった印象になること。
まぁこれはディレイを噛ませることである程度以上解消する。

次にマルチマイク収音でのミキサーの持っている致命的な問題。

アンサンブルが違って聞こえる・・ということ。

これはワンポイント収録では起こらない問題だが、マルチマイク収録ではどうしてもミュージシャンの作ったバランス感覚とずれて聞こえてしまう・・ダイナミクスの変な強調とかが起こってしまうということ。

なんでこういう事が起こるのかを考えてみる。

通常のアンサンブルで楽器が1本の場合からユニゾンで2本に増やすと、3dbの増加・・これはかなり整合性の高い場合でね・・普通はもっと落ちる。

当たり前だよね・・一人一人音も個性も表現方法も少しずつ違うんだから・・

10名のアンサンブルなら理想で10dbの増加。こういう音量の変化感をクラシック系のミュージシャンは身につけている。当然アンサンブルをどうコントロールするかが自らの表現の根幹に関わるのでうるさくて当たり前。

さて、これをマルチマイク収録でミキサー上で行ってみる。
楽器一本から2本目を追加したとき、ミキサーという代物は電気回路的には電圧加算回路の化け物なので、2本目のフェーダーをあげたときに6dbの増加となる。
10本フェーダーをあげると20dbの増加。
パワーアンプは電圧信号を受け取って電力に変換しているので、6db上がるとそのままスピーカー出力も6db上がる。20db上がると20db上昇。
これは音圧計を使って実験済み。

仮にソロ楽器ならその演奏表現に伴う音圧変化はそのままマイクの出力に変換され、スピーカーから出てくるといえる。
が、アンサンブルの場合マルチ収音では・・

これがおそらくクラシック系のミュージシャンがマルチ収音、そしてPAを忌避する非常に大きな原因となっているのではないかと思う。

空間での音合成もウーハーの密集配置で同信号だと6db合成にはなるのだが、楽器ではあり得ない。

分かりますかねぇ・・イメージ・・

さて、では解決方法はないのか・・

電圧加算型のサミングアンプを止めればよい。
つまり各モジュールからの信号を合成時に倍で3dbずつという演算をするミックスアンプ(ここではサミングアンプとは言えない)があればこの不自然さはかなり解消される。よね?

もっともパバロッティみたいに積極的にPAを自らの表現に取り込んででも・・多くの人に自分の音楽を聴いてもらいたい、という欲求のあるクラシックミュージシャンがもっと増えないことには、どこも開発してくれそうもないけどね・・^^;;

おっと

仮に70dbの音が出ているスピーカーを音源に実験してみよう。(あ!複数用意する必要有り)
一本のマイクで一本のスピーカーを収音する。
で、後でスピーカーも一台追加することを前提にその後から来る一台も想定し、マイクから等距離で配置できるようなマイクセットをして、まずゲイン調整。
0VUを指すように調整する。

これで準備完了。

さて、この状態で同じ音の出るスピーカーを追加する。
メーター読みは3dbアップする。

この状態は楽器が2倍になったと同様と考えられる。

生の音が2倍になったイコール3dbアップした。覚えてね・・

次に同じ配置のままマイクをオンマイクにセットし直す。
各スピーカーの前にね。
で、スピーカーからの音量は変えないことにして各マイクのゲイン調整を行い各チャンネルごとに0VUを指すように調整。
フェーダーは一本ずつ調整しましょう。

んで、まぁわかりやすいようにどちらもグループの1に出力される様にしましょう。

これでフェーダーを2本ともあげるとグループの1には6db上昇した出力が出て行く。

最終の拡声に使うアンプは3db入力電圧が上がると電力も3db上がる。
スピーカーから出てくる音圧も3dbのアップ。
6dbでも同様。

さて、マルチマイク収音では楽器が増えたときの結果が違っている。

まぁ、物事何でもこんなに単純ではないけれど、それでも基本的な現象・・としては認識してもらえると思う。

と、こういう実験を以前やったのよね・・
これが先の話題につながるんだけど・・

ディレイあれこれ3

さて、ボーカルの拡声にディレイを施して定位を集約し、高い明瞭度を稼ぐ・・というのはよく知られた手法・・だけど・・
歌う側から見たときどういう印象になるか・・

従来のシステムではまずモニタを上げ、オ~来ている来ている・・などとチェックし、軽く歌ってみていいんじゃない?
これにハウスを足したとき、返りの性で明瞭度が落ちるのだがこれはまた非常に音に包み込まれたような感じでもある・・自分の声がぼわ~ん・・となるのだな・・
オーディオ的にはまずいかな・・などと思うのだが・・ボーカリストは本来ナルシズム的傾向があるため、自分の声で自分が包まれることに快感を感じる・・と言う要素があることを見逃してはいけない・・
また、通常ライブハウスや地方の小さなジャズクラブなどを回るときはディレイなどと言う概念を知らない所での仕事も多い・・勢いそういう音で経験を積み、常識として固まってしまっている・・と言う問題もある・・もちろん個人差が大きくて、人によっては説明を聞いてきっちり新しいことにチャレンジする人ももちろんいらっしゃるが、腕の良い大工ほど慣れた道具に固執するし、また出来栄えが良かったりすると言う点を考慮すると大概は従来の音傾向を好む・・と言えると思う。

そこにディレイを持ち込むとどういう反応が帰ってくるかと言うと・・「あんた!ちゃんとPAしてるの?全然音が寂しいじゃない!・・」となることは必定・・

そりゃそうだ・・まるで生の様にクリアに歌い手の大きさそのままの拡声をしているんだから・・などと音響的説明をしても大概どんどんその場の雰囲気は悪くなる・・結果、お互いに信頼感を作れないままの現場になってしまう・・

このディレイをきっちり合わせ込んだときに歌い手からどういう印象になるかと言うのは大変に興味深く、また難しい問題である。
まるっきりの新人なんかだと、経験がないのでそういうもんだ・・で済むんだけど・・

まず、自分の生の声がそのまま自分の位置で少々大きくなっても、マイクが生きている感覚がつかみにくい・・と言う問題が一つ。
もちろん、モニタでの確認は出来るんだけど・・PAがなってないみたいに感じる・・
自分の回りがスカスカして感じる・・確かに余分な付属物を減らしているからなぁ・・
明瞭に聞こえているがすっぴんを晒しているような心もとの無さを感じる・・う~ん・・これは女性ならよく分かるんでしょうね・・

と言うことがあるので、ディレイを使ったボーカルの拡声は特にジャズ系の経験の長いボーカリストほど、そこら辺の包まれ感を損なわないように注意しないといけない。

まぁ、スピーチなんかでは素人さんだと緊張しにくくて良いんですけどね・・

自分で確認したときに「お~すっきりさわやか!」と言う奴から、ほわんとあたたかく包まれるような印象になるように若干EQを操作したりディレイ値を微妙に調整してやった方が喜ばれることが多いね・・

波動スピーカー?

世の中、波動と言うと怪しげなエセ科学だったり、一聴に値するものだったりなかなか難しい言葉である。

波動スピーカーもその例に漏れず、単に位相面でのコヒーレンスを取っただけのものを波動スピーカーと称したりする例もあるようなので、悩ましい言葉なんだけど・・

さて、キャノンの技術顧問などを歴任された寺垣武氏が設立した株式会社寺垣研究所と言う組織がある。
各製造メーカーなどに技術アドバイスをしたり、技術者の資質教育などに携わっているようだ。

その寺垣氏の考案したレコードプレーヤーは超弩級の音がすると言うことで一時評判になったものだ・・

さて、その寺垣氏が発表した波動スピーカー・・コーン紙やダイヤフラムはみえない・・湾曲したバルサ材を直接駆動するドライバーがあるだけ・・
そして、そのバルサ材を直接振動させて音を出しているわけではない。
バルサ材の端面でドライバーに接し、バルサの材の中を通る音として伝えている。

これがまた素晴らしい音なのだと聞く。
つまり、分子素材の中を伝わるエネルギーとしての波動を使っているので通常の音圧概念では説明できないようだ・・

肝は材に曲げ応力を掛けることで、薩摩琵琶の製法もそうだと聞く。
曲げ応力を掛けないと伝わらないとのこと。

そこで話ばかり聞いていても埒が明かないとビニールの下敷きとオルゴールを準備した。

オルゴールの筐体に下敷きの端をまず通常簡単に想像できる面接触してみる。

意外や音量に変化はないし、大して音も変らない。
これはスピーカーユニットを解放で使用したときに近似と思う。

次に下敷き端面(切り口の薄い部分)、これをやはりオルゴール筐体に直角に付き合わせるように接触させる。

これまた全く音は変らない。

次にその状態で下敷きに力を加え、ぐっと曲げていく・・すると・・なんと驚いたことに華やかで厚みのある音が大きな音量となって響きだす・・

続いてその下敷きに打楽器などのミュートの要領で手を当てて音を止めるべく試みる。通常の面振動であればこれで覿面に音は止るか音量の著しい低下を招くはず・・

が、全然落ちない・・

たいした大きさではないので全体を回しながら指向性のチェックをすると殆ど指向性はないことに気が付く・・

また、下敷きの凸面方向より凹面方向で聞く方が若干豊かである。

さらには距離を放してもあまり音量が減衰しない・・

鈴虫の出している音、あの音響出力を鈴虫が消費しているかと言うと疑問・・よくあるように、ホールに紛れ込んだコオロギ・・恐ろしいほどに轟きわたる音色を響かせるが、その同じ音を通常のスピーカーアンプ系で駆動したらどうなるか・・かなりの出力を喰うに違いないが、そんなにコオロギはエネルギーを消費しているか・・

そのことを考えたとき、地球環境に対し決して少ないとは言えないエネルギーを消費しながらライブをやっている身としてはちょっと考えてしまうのよね・・

ということで、今回の実験。オルゴールは百均の315円のもの。下敷きに至っては100円もしないか・・

是非とも諸兄もご自身の手で実験されたい・・またその結果をコメントでも寄せていただければ幸いです。

ピークメーターと聴感音量

どうも、総論系の話が好きなのかなぁ・・わし・・

さて、オペレートしていて非常につらいのが、ピークメーターは振るが音の来ない楽器や声・・

つまり、発生エネルギー総量は大きいのに聴感上の有効な楽音になってない・・という場合ね・・
典型的な遠鳴りのしない音でもある。

概して名人級の演奏家になるとチューニングのためポン!と音出しをしただけで周りの人間が皆そちらを振り向くようなすごい音を(音量が大きいという意味ではない・・心引きつけられる音と言うこと)出す方がいる。

こういう方を録音したり拡声したりすると、メーターの振れが穏やかで、聴感とメーターに差異が少ない・・
つまり、無駄なエネルギーは全然出していないわけだ・・
我々はこの状態をマイク乗りがよいと言う。

例えばオーバーヘッド一本で全部録れてしまうドラマーとか・・

コンデンサーだろうがダイナミックだろうが、こういう方は見事に音を乗せてくる。

逆にマイク乗りの悪い演奏家の場合、近くではうるさく、そして遠くでは聞こえない・・
またがんがんピークを打つのにミックスすると埋もれてしまう・・音量感もない・・と言う現象になる。

まぁ、だからといって泣き言をミュージシャンに言うわけにはいかないので、ワザとトランジェントの悪目のマイクや、コンプなどを駆使して普通に聞こえるように納めていくんだけどね・・

さて、このメートー読みと聴感音量を如何に近づけていくか・・と言うあたりに、収まりの良いミックスのための秘訣がいくつも隠れている。

各楽器とその演奏家によってピーク成分の出方がまったく違う。
このピークを馬鹿正直に再生すればよいというものではない。
アンプもスピーカーも飛ばしやすいし、そのピークのためにほかの楽器まで歪んでしまうことだってある。
よってこのピークを如何に処理するか・・それが聴感上自然で、しかも収まりをよくするためにはどうするか・・ここにマイクアレンジやヘッドアンプの選定、コンプの選定の大事さが出てくる。

ちなみに言うと人間の耳に聞こえないピークは一切が無駄である!と割り切ると資源の節約になる。
アンプもスピーカーもミキサーもすべてが聞こえている成分に対応できればいいからね・・
ところが聞こえないピークにまで追従しなければならないとなるとエネルギーを無駄に消費し、かつ膨大な機材を準備しなければならない・・
そして、往々にしてそのピークは楽音でない部分で出ることが多い・・ピックをこする音とか・・これは演奏者からすると一番聞かせたくない部分の一つ・・へたくそに聞こえるからね・・
でも、オーディオ系のエンジニアは往々にしてこれを強調してHiFiだ!となりがち・・
気をつけたい部分だな・・

とまぁ、メーターを観察していても結構いろいろな情報が得られるので、是非注目して欲しい・・(こればかり見ていて舞台を見ないようでは本末転倒だけれど・・)

インピーダンス

といっても、別に回路理論的な話をしようってんじゃぁない・・こちとら高専を落第して以来そういう話は避けてきたし・・

さて、純粋に電気回路としてのインピーダンスもそうだが、機械系を含んでのインピーダンスとなるとマイクかスピーカーに伴う問題が、現場的には結構大問題。

アンプスピーカーで構成される回路は、簡単には電圧源としてのアンプ、そしてその内部インピーダンスが直列に入り、その直列系に更にスピーカーが直列にはいる形で表現される。

けれど、現場的にはこれにスピーカーと直列に線路抵抗(スピーカーケーブルの抵抗)が入るものと理解した方が良い。

現代のアンプは内部インピーダンスは殆ど無視できるほどで、ダンピングファクターが1000だの、一万だのになってしまう・・
これは、スピーカーからアンプを見た場合、殆どショートしているのと変わりない。(線路抵抗が無視できる場合)

だから、8オームのスピーカーに仮に100Wattを供給するとして、線が短ければスピーカーにエネルギーは完全に供給されると思って対して問題ではない。まぁ、スピーカーから100Watt出ている・・というアマチュア的発言で差し支えない。

が、細く長いケーブルを使う必要が合ったとき、グランドや公園、駅構内での配線のようにしこたまになると、なかなかにこの線路抵抗は無視できない。

というのもそもそものスピーカーのインピーダンスが8オーム程度であることが大きい。

仮に0.08オームの線路抵抗になってしまったとすると、100:1の比率。
総抵抗は8.08オームでアンプから出たパワーはスピーカーと線路で100:1でエネルギーを分けあってしまう・・
かりに101Wattの出力をアンプが出していると、なんと、ケーブルだけで1Watt消費している計算になる。
家庭内で1Wattも音を出したら苦情が来ること間違いない・・
それほどのエネルギーを無駄に熱にしてしまっている・・

だから線路抵抗を低くしなければならない訳だ・・よってスピーカーケーブルは太く!短く!

カーステレオに用いられているスピーカーケーブルがやたらに太くて高いものが多いのも、アンプの低電圧動作に由来する4オームスピーカーの多用に関係する。
スピーカーのインピーダンスが低い程、線路抵抗の影響を受けやすい・・
先ほどの理屈で言うと102Watt出しているときに2Wattがケーブルで消費されるのと一緒。

次にダンピングファクターの観点から眺めてみよう。

先ほど理想的にはスピーカーからアンプを見るとアンプは殆ど抵抗がないに等しい・・
したがって、電圧源としてのスピーカー(??と思っている人いるでしょ!スピーカーはマイク端子に繋ぐとちゃんと音を拾うのよ・・つまり音が入ると電機を発生するのだ!・・よって電圧源!)からアンプ側を見るとショートに近い・・
これが勝手にスピーカーが暴れるのを防いでいる。ちょっと触ったらボワ~~~ん・・なんてのは願い下げでしょ?
音楽再生的に考えると、アンプから供給された信号をきっかけに勝手に振動されては困る訳で、波形をきちんとトレースしてくれないとね・・だからダンピングファクターが重視された・・(特に真空管アンプ時代はね・・ダンピングファクターを低くするのが大変だったから・・)

で、現代のウルトラパラレルトランジスターの時代ではアンプの内部抵抗は内に等しいほど・・

ところが、先ほどの線路抵抗!
こいつがまたまた邪魔をする。
先ほどの伝で言うと0.08オームの線路抵抗が有るとダンピングファクター10000有ろうと一気に100以下に落ちてしまう・・俗に言う締まりの悪い音になりやすい訳だな・・現代SRでのキックの音なんかは覿面。

よって、HiFi再生の観点からもスピーカーケーブルは決して無視できない訳だ・・

さて、8オームのスピーカーが4台有る・・一つのキャビに納めてパラシリーズにするとトータルで8オーム・・というスピーカーの結線方法が教科書にも載っている・・

先ほどから話しているダンピングファクターの考え方を大事にするならとんでもないことになる・・と言うことは理解してもらえると思う。

が、背に腹は代えられない・・の伝で、なんとしてもそういう運用をせざるを得ないことも有るだろう・・

このパラシリーズ接続・・2種類あることはお気付きだろうか?

まず「8Ω直列8Ω」で、16Ωを作り、この組合せを二つパラレルにする方法。
もう一つは「8Ω系列8Ω」で4Ωを作り、この組合せを直列にする方法。

どちらがより良いか、一つのスピーカーからアンプ側を眺めたときのインピーダンスがどちらが少ないかを計算してみればすぐに分かると思う。各自チェックしてね!

さて、一般的に使用されている低インピーダンス駆動(4-16Ωのスピーカーをアンプで駆動する方法)は、HiFi再生には向いているが、ケーブルへの注文が多く、長距離で、かつとにかく沢山のスピーカーを鳴らしたい!と言う用途に余り向かない・・ということに気付かれたと思う。

そう、だから100Vラインと通称言われる伝送方法が考案された。(まれに70V・120Vラインと言うこともある)

P=EIでE=IRなので、P=I^2Rである。

100Wattのアンプは8Ωのスピーカーには3.53アンペアの電流を流す。
よってスピーカーには28.3V位が掛かっている。これが低インピーダンス駆動によるスピーカーの受けている電圧。

これを100V伝送すると100Wのアンプだと1アンペア流せば良い。
したがって相手は100オームが最低リミット。
スピーカーに3W出せば良い(教室など)くらいなら3.3Kのトランスで受けると30個のスピーカーを駆動できることになる。
30Wattなら330Ω。
まぁ、厳密な計算は暇なときにするとして、これが構内放送システムでの基本的な考え方。PA(public Address)という用語のもともとの意味もこちらのシステムにある。

で、電力とか電圧・・で計算する分には確かにこれで正解・・
が、ダンプングファクターはどうなる?
と思ったときには悲惨なことになる・・

だから構内放送の音質は良くない・・妙にカンカン尾を引くような音質はダンピングファクターの著しく悪化した姿である。(トランス結合なので電力の伝達効率が良い代わりダンプングファクターは1!)

通常は現場でこんな計算はしないが、ケーブルの選定、緊急の借り物スピーカーの繋ぎ込み、隣の公園まで音を出してくれ!と言われたときのトランペットスピーカーの結線・・などのとき、このハイインピーダンスの話や、パラシリーズ結線の話を思い出して頂ければ・・

そうそう、もう一つ。

スピーカーからアンプを見たときのインピーダンスの話をした。
スピーカーはそれ自体電圧源となると言う話しもした。
つまり、マイクと一緒。動けば電気を出す。
マイクにもなるでよ・・だからトランシーバなどは兼用しているでしょ?

で、アンプが結線されているとき、アンプが生きていれば内部抵抗は少ない。よってスピーカーが余計な振動をしようとしても発生した電力がショートしたような状態になってブレーキが掛かる。これは逆起電力は常に動きを止める方向に流れるから・・昔の自転車でライトをつけると重くなったのと同じね・・

ではスピーカーに何も繋いでないときは?

いくらスピーカーのコーン紙が動いても流れる電気回路がないので止める要素もない・・

何を言いたいのかと言うと、トランポの途中の話である。
スピーカーを移動するときに端子をショートしていると稼動部分のブレーキになるので破損し難くなるよ!と言う話なのだ・・

スピーカー用のショートスピコンを準備してトランポ時に装着しておくとスピーカーの破損がへり、寿命が伸びる。

大昔のオーディオマニアなどはここらを良く知っていたが、最近の若い人は知らないみたいなので、あえて恥ずかしくも蘊蓄を垂れておく・・^^;;

URLの訂正

管理人が運営委員会の一端を担っているFBSR会技術研修会がこの2月にまた開催される。
東北の音響技術者を中心とはしているが、きわめて実践的でかつ機材を直接操作できる機会の多い研修会で、全国でも際立った特徴を持っている研修会だ。
今年のテーマは「It's Fine Today. One Tow Three Test!」~ヴォイスチューニングとデジタルオペレーション~

まぁ音響測定技術も発達してきたにしても、現場で使い物になる音にするには結局ヴォイスチューニングが欠かせないですよね?ここら辺をデジタル時代だからこそきっちりと押さえましょう!ということです。

また、デジタル時代だからこその一番の恩恵、ディレイシステム。
これはディレイタワー等の大掛かりな補正以外にも回線や圧縮回路、映像とのズレの補正、アレンジしたマイク間距離の補正、PAスピーカーと生音との補正、スピーカーユニット間補正などもはや位相補正か時間補正か微妙なレベルまで補正することが可能になりました。
デジタルならではのメリットを学び利用すること無しに音量補正やEQ補正だけにかまけているとアナログの方が良かったという妙な回帰現象に陥ってしまいます。
そこで、原点に立ち返り、ヴォイスチューニングの基本技術と最新のデジタルならではのオペレーション技術とを同時に学びましょう!というのがテーマです。

詳しいことは下記URLからPDFファイルをダウンロードしてください。

http://www.mediafire.com/?7exn1vz0n0j

講師(予定)は管理人の師匠の一人である岡田辰夫氏。元東京音研の技術部長。現いわき市民文化会館Alios音響部チーフ。
会場は福島県喜多方市の喜多方プラザ文化センター
詳細はPDFファイルで!

さて、この研修会、単なる座学の研修会ではないので大変に役立つ。
またメーカー、ホール技術者、サウンドカンパニーの技術者、放送局、スタジオ技術者、建築音響設計者等、幅広い参加者が特徴で、情報交換会の厚みはものすごいものがある。
ここで新しいビジネスをつかんだり、新しいキャリアに進んだりというきっかけも多い。
是非とも参加してみて欲しい。
そうそう!宿泊と情報交換会は温泉なので、都市部での研修会とは各参加者ともメンタルにだいぶ違いがある。ライバル社同士であってもこの研修会では結構コミュニケーションが進むようだ・・

錯覚ついでに

 さて、定位に関して錯覚の話を振ったので、ついでにもう少し錯覚の話を掘り下げてみよう。

 そもそも、我々がステレオ再生を行っているそのこと自体が、実は大いなる錯覚であることに気がつかないと、不毛な原音談義に陥ってしまう・・・

 仮に非常に精密な音源方向を特定できるマイクがあるとして、我々が通常愛用しているステレオ再生装置から出ている音はどのように判断されるだろうか?

 想像するに、あくまで2方向からの関連のある音情報の到達・・としか判定されないと思われる。
これは5.1サラウンドだろうが7.1サラウンドだろうが、物理エネルギーの到達方向を測定する限りそうとしか答え得ないと思う・・だって、物理測定なんだから・・

 でも、我々はその間に楽器や歌声を定位して聞いてしまう・・

 これってすごい不思議で・・実に残酷なことだと思いませんか?
 人間って・・そんなことも判別できないのか・・って・・でも・そのなかで何十年もやれ原音再生が・・とか口角泡を飛ばしているわけで・・

 我々の脳の作り出す不思議でもあるし、その哀しみでもあると思ってしまうのよね・・

 なんで、こんな事でだまされてしまうんだろうか・・なんで我々はこの欺瞞に気がつかないのか・・とか・・

 社会の中にも、人間関係の中にも、一見物理的真実と思いこんでいることの中にも・・たくさんの錯覚が紛れ込んでいるのだろうなと・・
 それでもって、あいつは嘘つきだとか、本質が・・とか・・

 よく考えて欲しい・・

 自分が見ているその景色を他の人が見ているか・・本当に同じかどうか・・
 自分が見ている色が他の人も本当に同じかどうか・・
 自分が聞いているこの音が他の人も同じかどうか・・

 その検証の方法は無いんだよね・・

 写真も、絵も、景色も、彼女の顔も、自分の顔も・・すべてが自分の主観のなせる技・・誰とも共用できていないかも知れない・・って言うことを・・考えられます?

 主観を客体化する手段はたぶん今後とも誰も持ち得ないのではないか・・と言う恐怖をちょっと持ってしまいますよね・・

 で、そこから他人をまったく無視するのか・・他人のことを慮んばかってより他人に優しいであろう・・(これは客体化できないからねぇ・・)アプローチに進むのか・・

 管理人はどちらも評価しないし判断もしません・・あなたが決めることです・・

 絶対(と言うことはあり得ませんが・・)に誰とも共通の認識はもてないから他人をネグレクトするのか・・
 だからこそ、見果てぬ夢を追うのか・・

 たかが音響・・されど音響・・たった一つの感覚でも人の生き方に相通じる深いテーマが隠されているようです。

錯覚、更に

さて、定位絡みで錯覚の話を降ったので、ついでに今一つ考えてみたい。
ステレオ再生が錯覚の賜で、物理測定するとあくまでそのスピーカーの音源方向しか測定しないだろうことはすでに記した。
が、一部読者には「ふっふっふっ・・リサジューがあるぞ・・馬鹿め・・」と考えた方もいらっしゃるかも知れない・・

おっと!リサジューを知らない方のために・・まぁ一部メーカーでステレオスコープなどと称して専用化されたツールもあるのだが、2現象オシロスコープで、X,Yにステレオのそれぞれの信号を入れて観察したもののことである。

モノーラル正相では普通は左斜めの一直線に。多分左をY軸、右をX軸にしたとすると、Lだけなら縦一本の線が、Rだけなら横一本の線が表示され、楽音を入れるともじゃもじゃした線画が表示されるというものだ。
この線画をリサジューとよぶ。
専用機はモノラルの時に縦一本の直線になるように表示部分を傾けてある。古いものはブラウン管だったが、今は液晶が多いのかな?

さて、このリサジュー・・確かに位相のチェックや定位の観察に応用している。
が、あくまで左右の信号のベクトル合成したものを見ているに過ぎない。その証拠にモノラル完全逆相の時には定位と関係ない表示になるし(そもそも定位したと言えるかどうか・・)、生音でもしばしその状態が観察される。
まぁ、だからマイクアレンジを直せ!と言う話になったりするんだけど・・

厳密な意味での定位を測定している訳ではない・・

さて、世の中サラウンド流行り・・
特にハリウッド製のスペクタクル物は音が飛び回ること飛び回ること・・

でも・・非常に苛つく音なのよね・・

サラウンドにするために相当位相をいじらなくてはいけないらしく、特に飛び道具物はその傾向が強い・・

結果・・実際の音に比べ位相が狂ったじゅるじゅるした音になる・・
確かに新幹線の音でもジェット機の音でも位相がずれた音の成分は確かにある。
が、それ以上に正しく音源自体が動いていることで出来た音である。

新幹線に至っては数百メートルにわたる音源群の作り出す音であり、決してモノラル録音した音を位相をいじって定位をいじって造った・・などと言う音では再現できない。

まぁ再現しても錯覚だ・・というパラドックスは置いといて・・^^;;

次に我々音屋にとって一番の常識、オンマイク収音についても、以前に書いた気はするのだがもう一度記しておこう。

通常、生楽器は数十センチから数メートルの筐体サイズがあり、ほとんどその全部から音がでている。これを我々は二十センチ程度の左右の耳の間隔と全身の振動センサーなども総合して音として聞いている。従ってエネルギー伝達系として考えた場合、相当に複雑な系であることは理解してもらえると思う。これに距離の関数も加わるし収音場所の音場の問題も加わる。

いや、だったらそんなもん積分してしまえば・・とか言わないように・・単純にエネルギー総量を測定すれば済むものではない・・なぜならそれを受け取る人間の側が結構それぞれを分析しつつ、かつ総合的にも受け取っているから・・

と言うような複雑な音源を、たかだか1次元のピストンモーションしかしないマイクロホン・・という入力機器で果たして正確に拾っていると言えるのだろうか?
いや、確かにカプセル径とか指向角とかは色々だが、カプセル自体の振動方向はあくまで一次元である。

さらに、現実の耳ではあり得ない近距離で収オンしているのがオンマイク収音。
これは一つ一つのマイクの信号はとてもその楽器の代表的な普通に耳にしている音になぞなる訳が無い・・それでも普通にマイクを立て、なんのEQもしなくてもスピーカーから出してみると意外に納得する音であったりする・・これはFBSR会の以前の研修テーマNonEQミキシングでも確認済み。
なぜか?

ここにも人間の素晴らしい錯覚の機能が良い方向に働いている。
スピーカーから出た多分元はキツイであろう楽音が空間に放出されてから生の楽音とミックスされ、且つ空間を経て自然残響が加わることで元の楽器のイメージと遜色ない物と感じられるためだ。
逆にこれがあるからこそマイク段階で空間の音まで拾ってしまうとぼけてしまう!
と言う考え方も出来る。

ここら辺が録音とPAとの分水嶺なんだろうねぇ・・

さて、斯様に錯覚の影響が大きいとすると、そもそも音楽自体が大いなる錯覚のなせる技・・とも言えるよね?
ということは、物理的に生音、あるいは原音志向を目指すより、その場のミュージシャンにその場のリスナーが抱いているイメージ・・に忠実であることの方が遥かに重要だと思う。
ここで忠実であることを否定はしていないが、幻想としての原音を追求するより、同じ幻想ならそのイベントの一番の目玉であるステージ上の出演者にリスナーが抱いている幻想!に忠実である方がよりそのイベントの印象は素晴らしいものになることは間違いなさそうである。

例えば名前を出して恐縮だが、かのクラプトン氏のライブで、フィンガーボードの出すわずかな雑音(そんなものはほとんど出さないプレーヤーだが・・)が、リアルに聞こえるライブと、醸し出すメロディが美しく響くライブと、どちらが良い印象を持つかは言うまでも無いだろう・・

と言うことを総合的に考え合わせると、ライブPAのエンジニアの素養はもちろん電気的な知識とか音楽的な知識もさることながら、意外や心理学、あるいは大脳生理学、の知識が役立つことが多そうだ・・

カクテルパーティ効果など音響学的に語られてはいるが、実は脳の錯覚のなせる、あるいは脳だからこその効果を結構現場では求められているしね・・
ステレオイメージの問題も、ハース効果の問題も結局は脳の問題。

さて、諸兄は如何お感じになられますか?