2014年10月8日水曜日

素材の音

以前、FBSR会技術研修会で講師の岡田氏がマツダ(東芝のブランド名)製A型ベロシティマイクをレストアして持ち込んだことがある。
これが又素晴らしい音がした・・純A型ベロシティは高域特性が良くないと言うことであまり評価されてはいなかった模様・・(昭和38年発行のマイクロホンハンドブックの記述による)
が、機材の存在を感じさせず、話している本人が立上がるような音のあり方にいたく感銘を受けた・・

岡田氏によると外国製のチョコレートのアルミホイルの響きがいいのでひらめいてそれを使った・・とのこと・・プレーンなライターで丁寧にのばし、蛇腹をカッターの刃の背で作ったと言うからすごい・・

さて、このときの一言・・外国製のチョコレートのアルミホイルの音がよい・・と言う言葉・・これがずっとどこかに引っかかるのよねぇ・・

確かにシャラシャラという独特の響きがある。
国産だと妙にビニールっぽい音がする・・

考えてみると国産の金属って一般に鈍めの音がするなぁ・・などと思ったのよ・・

で、考えた・・

素材自体の音って、もしかするとかなり音響機材の音自体に影響があるのではないだろうか・・

スピーカーのコーン紙の音やエンクロージャの話はみんなする・・
が、ボイスコイルのワイヤーの音、アンプ内の配線材の音・・トランスの巻き線の音・・筐体の素材の音・・コンデンサーのアルミ材の音・・誘電体の制震材としての性能・・ケースのアルミの音・・など・・いろいろな素材が音に影響を与えそうだなと・・

日本の製錬技術は大変に優れてものがあるのだが、こと鋼に関しては欧米の鋼に今ひとつと言われていたように記憶する。
昨今、蹈鞴鉄の技術が再現され、鋼としての技術が一つよみがえったようであるが、もともと日本刀のための技術であった・・
翻って欧米は銃の歴史が長く、銃身のための製鉄技術、特に鍛造技術が進み、靱性と耐熱性に優れた鋼の開発で日本を上回るものがあったのかと思う。
また、宇宙技術とともに又素材技術も進んだのか、結果として音響機材にも良い影響があったのではないかな・・

でだ・・なんでチョコレートのアルミホイルまでシャラシャラと夢を誘うような音がするのか・・なんで国産のは単に包み紙のような音しかしないのか・・
なんで、国産シンバルは良い音がしないのか・・
なんで管楽器も欧米に優れたものが多いのか・・

回路技術もいいし振動モード解析などもいいのだけれど、素材自体の中の音・・にもっと注目すべきではないかなぁ・・

奇しくもキャノンの技術顧問をされている 寺垣研究所・寺垣武氏考案の波動スピーカー(同名の他のシステムもありますが、ここのが面白い)は、分子間のエネルギー移動現象としての素材の中を通る音に注目されていますね・・

こういった新しい視点からの素材音響学が育つ余地があるように思います。

自然現象の中でしばし、従来の音響理論では説明しがたい現象が観測されます。
それも実は自然の持っている性質であり、まだまだ人間がすべてを解明できているわけではない・・
もし本当にすべてを解明できているならもう科学者は要らないわけで・・
正しい科学的姿勢というのは、まだまだ人間は無知であると言うことをまず認めることだと思うのですがね・・

とまれ、素材自体の音色に思いをはせるきっかけとなったAベロのアルミでした・・

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