2014年10月8日水曜日

常設スピーカーの難儀

近年、浜松のアクトが出来ー(1ではなく長音記号ね)の、愛知芸術が出来ーの、2国が出来ーのでオペラを意識した間口も広ければプロセタッパもやたらに高いホールがずいぶん増えた。
まぁアリーナよりはましという意見は置いといて、ホール特有の問題として、常設スピーカーは設置しなくてはいけない・・と言う奴がある。
一昔前の7-8メートルくらいのプロセタッパの時代はともかく、近年の14メートルとかそれ以上のタッパになると如何にディレイシステムをかまそうと、客席前列に近いあたりではプロセの音は真上から降ってくる・・
まぁもともと客席最前列ってPA的には結構厳しいところであるのはともかく、オペラってベルカント唱法を使っている限り日本ではなじみにくいという原罪を負っているんだけどねぇ・・なんで、年に数回しか出来ないオペラにこんなに投資するんだか・・と、ちょっと素朴に思ってしまうのは、東北のド田舎のホールに勤めているやっかみかな?

おっと、オペラの日本での功罪は、ボーカルバランスに関する別スレを参照して自分で考えて欲しい。おっと、オペラという芸術がいいとか悪いとか言っているわけではないよ・・
さて、何に文句を言っても、とにかくそういう小屋の常設機材を使わざるを得ない立場の方々も多数おられることと推察する。

で、そういう間口の広い、またタッパの高いプロセニアムアーチを持っている小屋の場合、大概ポータルが設置されていると思う。
小規模なセットの芝居をしたりには欠かせないこのポータル。
通常の設置の仕方では間口10間程度、タッパ4-5間くらいにして使っていることが多いのではないかな?
式典なんかもだだっ広くては使いにくいしね・・ましてや講演会では・・

さて、このポータル・・間口を決めるポータルの上下(かみしも)の高さ4メートル程度、のところになんでスピーカーを設置しないんだろう・・といつも思ってしまう。
ここにスピーカがあると実に使い勝手がよい。
もちろん、タッパを決めるポータルにも有ればなおいいよね・・センターと左右・・
純粋に建築的に固定されている設備スピーカーよりは調整もしやすいし何より調整機構が舞台(美術)との話し合いで決められる。

このポータルへのスピーカー設置は地元の演劇劇場のある作品の演出家の要求から発案した。
スピーカーを見せたくないので地方ブースの奥に置け!
これに悩んだ小屋の音響さんから相談を受けたのね・・
現場を見てポータルがあるのを確認し、美術さんと相談して、ポータルの適当な位置にスピーカー用の穴を開けてもらい、ハウス用スピーカーを設置して全面にはサランに美術さんがセット用の絵を描き、スピーカー背面は暗幕で覆えば?

これが大当たり!制御もしやすいし音圧ムラも少ないしで、結局その作品以来ずっとそのままポータルに仕込まれたままになっている。(もちろんサランは黒く塗られたりしたんだけどね・・)

このポータルへのスピーカー。
建築音響、もとい設備音響の人たちからは盲点になっているのかまず設置例を見たことがない・・

設備音響の人たちには申し訳ないのだが、いわゆる設備音響の仕様書・・何度眺めても、なんのために必要なのか吟味された形跡がないままとにかくプロセニアムスピーカー!サイトかカラムスピーカー!ステージスピーカー!フロントスピーカー!となっているような気がしてしょうがない。

ステージスピーカー・・ってどういうシチュエーションで使うんだろうか?通常のロードのPA屋さんみたいにハウスとして使うには貧弱でしかもとってつけたみたいになるし、サイドフィルに使う・・くらいか?
おっと、民謡とか踊りでディレイ基準のバックスピーカーとしてなら使えるか?でもマルチセルラーホーン・・指向性がブロード過ぎるなぁ・・どこに向けようか・・

講演会のボイスのメインとしてのプロセニアムスピーカーは前述の通りタッパが高すぎて居眠りする客が増えてしまうし・・

今は民謡大会でさえ10本くらいの転がしを平気で使う時代。
素人の役所の人間でも使えますなんて嘘をつかないで、プロのために使いやすくチューニングしています。みたいにしてもいいのではないかなぁ・・
32-56インプットの卓を目の前にしてびびらない素人はいまへんて・・結果司会用のマイクとカセット入力以外はガムテで固定して、プロが行っても「あ!とにかくほかは触らないで!」などという小屋が増えるんだよねぇ・・
そうでなければ、委託などでプロが入るか、役所の人間がプロ(レベル)になるか、しかないじゃん・・なら最初から普通にプロが使いやすいシステムにした方がいいよね・・と思うのだ・・

とは言っても小屋には小屋特有の問題もあり、俗に言うPAとしての完成度だけでは済まないのが小屋の音響。
ここら辺はまた別の機会に述べようかな・・

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