2014年10月8日水曜日

日本人の音嗜好(指向?)

ちょっとお休みしてました。

さて、アルティックの名機A7でオペレートした経験のあるエンジニアはたくさんいると思う。かくいう管理人も学生時代の実習ではこれがハウスシステムだった(FBはボーカルマスターだったな)。
このスピーカー、元々はシネマ用途に開発されている。よってスクリーン越しに聞いてちょうど良くなるように設計されている。
これを日本人はいい音や~つって直接聞いているんだな・・
で、おまけにこのスピーカー説明書には万が一ツイーターが飛んだときは、ウーハーをフルレンジで聞けば間に合うみたいなことが書いているらしい・・(未確認)
いくら何でもウーハーをフルレンジで・・とは思うのだが、結構真剣らしい・・
というのも、英語という言語は子音の占める割合が特に高く、シビランスの強調されやすい言語なのだと。また、そこを聞くことで英語の聞き取り能力も上がるのだとか・・で、こういった成分ならそこそこ確かに聞こえては来る・・

が、この状態(ウーハーだけのフルレンジ)で日本語で喋ると何が何と喋っているのか、ほとほと聞き取りにくいったらありゃしない・・

これがまず前振りの一つ。

日本という国の基本的な音環境。
まぁコンクリートジャングルである都市部はここ一世紀内の話なので、もっと古い時代からの遺伝子レベルでの話。
日本という国は地質学的にはずいぶん新しい国で、海溝沿いの国土なので基本的には火山国。
広葉樹林帯の面積が広く、腐葉土による柔らかい地質のところが多い。これは低音成分がよく吸収されることを意味するよね。雪なんか降ったらなおさら・・
建築材も檜や杉が好まれるため家屋構造も吸音性の高い材を伝統的に使っていたし、なにより障子、襖といったほとんど遮音性を有しないものがしきりとして使われている。低音に関しては特にね・・
よって、日本での伝統的家屋での生活では低音の少ないすっきりした印象の音環境になることが容易に想像できると思う。
これは比較対象としてヨーロッパに多い石を使った場合と比べてみて欲しい。

そう言う低音の少ない日本でたっぷりの低音を聞く機会・・というと、地震・・津波、洪水、なだれ・・雷・・と、ろくなものがないのよ・・

だから日本人の遺伝子には低音を忌避し、高音を好むものが組み込まれてしまったのではないかな・・

その証拠に伝統的邦楽器に低音楽器はない・・太鼓くらい?
その太鼓もドロドロと気持ち悪いシーンに使われているし・・^^;;
歌ものも、みんなテカテカしたハイトーンの歌手が売れている。しっとりと渋い低音で・・なんてのはほとんどヒットチャートの上には出てこない。
また、チョッパーベースの隆盛など、日本人はゆったりたっぷりしたベースが嫌いなんじゃないか?と思うくらいだよね・・

ここまでが前振りの二つめ。

でだ、先のA7。もう一つユニットを付け加えるなら何?って言う質問をしたんだと。
ヨーロッパ系はほとんどがサブウーハーを欲しがったらしいのだ。でも日本人は?
そう、もう想像が付くよね?スーパーツィーターだったのだ・・

管理人はピンクフロイド育ちなのでたっぷりした低音が好きなんだ。
で、キックは当然「ドッ!」となるものだと思っていた。自分でチューニングし演奏する場合も、そう言う音が切れよく出てくることを期待する。出来れば26インチが欲しいと思ってしまうほどなんだけど・・
今の流行は絶対違うよね?
キックの音評価で最初にアタックなる言葉を聞いたときは「え?」と思ったものさ・・

それでもスピーカーにプロセッサタイプが出てくる前、4560なんかの時代はまだ「ドッ!」が結構多かったように思う。
でも、ターボ以降プロセッサタイプのスピーカーが主流になってキックの音は「ガッ!」に明確に変わったようだ・・

この音が主流になってからキックのビーターもハードタイプが主流になったし、キックへのアタック収り用のマイクを追加するってもの一般的になってきた・・

まぁプロとして仕事をする限り、クライアントの好む音を作ることに異議はないから、いくらでもそう言う音に仕上げてやるんだけど、自分のドラムの音としてならあり得ないなぁ・・

で、とうとうキックのサイズが下がりだした・・今は16インチなんてのも・・こりゃフロアータムを寝かせてもいっしょだな・・と思うんだけどね・・
26インチが欲しいなんて思ってた時代はどこに行ったんだろうか・・

さて、斯様に高音指向の日本人。結局新しい最先端の音・・音楽・・って思っているものでも、かなり古い時代からの音センスがまとわりついて抜けないものなんだね。若いモンも意外と律儀に伝統守ってんじゃん!・・と、おぢさんは思ってしまうのだ・・

こうしたことから敷衍して考えるに、超低音騒音問題は日本人にとってかなりのストレスなのだろうね・・

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