2014年10月8日水曜日

お~長げぇ

前回、「中性線に対して高圧側が反転するコンセント同士の組み合わせで機材を使うという事態が想定される」と、書いたあたりで気力切れだった・・
まぁ、長すぎると見づらいしね・・なんて言い訳・・

さて、現場では電ドラで足りない電源を補ったりで、元々の電源素性の分からないコンセントを使わざるを得ないことが多い。
もちろん、アース側の確認などはするんだけど・・

っとここで、具体的な確認法を・・これはちゃんとした技術者への話ね。自己責任で安全を確保・担保できる人への確認を含めた記述です。テスターの使い方自体の分からない人は手を出さないでください。筆者はそこまでのチャレンジをお勧めしませんし、責任を担保できません。

で、ここから測定手順

まっとうなテスターを用意します。家庭用の電圧だけ確認できます・・なんてのじゃなくね・・これだと測れないことがままある。

で、交流電圧の100Vが測れる状態にして、まずコンセントの各々の穴にテスターの先をつっこんでみる。(くれぐれも金属部分に触らないこと。テスタープルーブケーブルの金属同士を接触させないこと)
これで、100Vが来ていることを確認。これ自体は電源事情の不安な現場ではしょっちゅう行っていると想う。

次に、コンセントのどちらか片方だけ(まずは太くて短い方)にテスタープルーブを差し込んで、残り片方をコンセントプレートのネジに当ててみる。
古い建物だと金属のコンセントケースなので、配管と導通していてこれで100Vが来て入れば、その配線は正しい。当然細くて長い側はゼロとなる。これで、グランド側が確認できる。
最近の建物ではコンセントボックスがプラスチック製なので、これでは測れないことも・・そう言うときは、次に床(手近に地面に行ってそうな金属があれば直良い:ガス管・燃料管は絶対駄目)との間で測ってみる。これは数十V位を計測できることが多い。これでも出なかったとき、裏技でテスタープルーブの端子を手で持ってみる。
怖いけどね・・原理的には電圧計測は電流を流さないで行うように設計されているので、100Vくらいでは全く感電はしないはず。
ただし、テスターコンディション、取り扱いのミス等で危険性がないわけではないので、お勧めはしない。
これでも、電源の極性は調べられるよ・・と言う話だ。

生電源測定終わり。

これでグランド側が明示的になったコンセントからドラム等を使用する場合は、電源ドラムのコンセント側は正しく細い太いがあるはず。3極電源ドラムならなおさら。
が、問題はプラグ側で、よく分からないのよ・・アース端子が付いていれば幸い。アース線が出ている側がグランド側。これはちゃんと合わせよう。通常豚鼻と呼ばれる3極と2極の変換を使った場合もグランドを合わせて差し込むのが正解。グランド端子を下にして差し込もうとしたときの左側がグランド端子のはず。

問題はそう言う気の利いてない奴。
一応規則では電気用品安全法だかのマークが付いている方とか、いろいろ言われているのだけど、古くなって削れていたりとかで全然当てにならない。まぁプロなら確認のとれているものを自分で準備しろ!というのもあり・・何だが、世の中いろんな事情はある。
で、ドラムを引き延ばす前に、元々のコンセント部分でグランド側にテスタープルーブを差し込んで、結線した電源ドラムのコンセントとの間で測って、正しい向きにプラグが挿さるようにきちんと調整してしまう。
さぁこれで地ならし終了。

次に任意の機材を機材間結線をしないうちに一度結線して電源を入れてみる。
��極電ドラで、輸入機材の3極プラグを使えればその機材は問題はない。(そのコンセントまでの確認がとれていれば・・の話ね。くどいけど・・

��極のプラグを持つ機材の場合が問題になる。(国産メーカー品はほとんどだね)

で、電源が入った状態で、余ったコンセントのグランド側にテスターのプローブ棒を差し込む。あらためてグランドの確認をするとなお良い。
次に機材の金属部分(アース端子があればベスト、なければフレームに通じているネジがいいか)との間で電圧を測る。
これで、電源コンセントの向きを変えながら電圧が少ない方をチョイスする。当然しているとは思うけど、入出力レベルは絞りきっておいてね・・
普通、アナログ電源回路を持っている機材の場合、数十ボルトと数ボルトと違いが出ると思う。このときは迷わず数ボルトの方を選ぶ。

難儀なのがデジタル系の電源を持っている機材。(スイッチング電源)
これはどちらに挿しても20ボルト程度測定されてしまうことがある。この機材は最終的にはノイズ源にもなるのだけれど、メーカーがこれでいいというのだからまぁしょうがない。悩むだけ無駄なので現場では取り敢えず無視。

で、すべての機材を測定し、正しい電源グランドを確保した上で結線を始める。
このとき、最初の機材にコネクトし、次の機材に繋ぐ前に、信号ケーブルのシールド端子と、機材のシールド極とで測定する。

このとき数ボルト程度以下であることを確認。
デジタル電源の問題のあったものはしょうがないが、単独で測ったときより増えていないかを確認。倍にもなったら迷わずそのデジタル機器のコンセントを反転。
こうしてミキサーからアンプまですべての機材が正しく結線されて初めてまっとうな状態で機材が稼働する・・と言うことなのだ。

グランド(シールド間でと言ってもいい)間で電位差があると言うことは、無駄な信号エネルギーを消耗しているので、ノイズにならないまでもパワー抜けの原因となったりする。混変調歪みも増加、いわゆるすっきりしない音の一大原因なのよね。

さて、これで繋いでも、まだすっきりしない・・もっとノイズ対策をしなくては・・と言うときには、デジタル機材など、問題のありそうなところにアイソレーショントランス(絶縁トランス)と呼ばれる器具を挿入する。
NHKさんあたりと仕事をすると放送系との信号の受け渡しには必ずこれを入れされられるほど。
これは600:600などのトランスを介在して電気的に直結させないことで、グランドループを切ってしまうと言うやり方。
トランス特有の問題が気にならなければ電気的にはもっとも安全。

さて、トランスの問題を回避しつつとなると、ファンタムの介在するマイク回線ではまずいが、ライン回線では入力端子のところでグランドをリフトする・・つまりグランド端子をシールドから切り離してしまう・・と言うやり方がある。
これは信号線の正反のみを繋ぎ、シールドは出力端だけを繋ぐことでグランドループを切ってしまおう・・と言うやり方。
ダイレクトボックスなどにグランドリフトスイッチが付いているのはこのため。
また、昔のYAMAHAのアンプなどにはそのためのグランドリフトスイッチが付いていたものだ・・
まぁリフトした方がいいのか、しない方がいいのかは現場の状況にも依っていて、必ずしも必ず切れ!とは言いがたいのだけれど・・

さて、それでもノイズをもっと取りたい・・となると、そもそもの電源から着手しなくてはいけない。

各電源の相を合わせるべく、巨大な複巻きの電源トランスを持ち込んで、もともとの電源の相を一旦切り離し、新たなグランドとすべて同一の相の電源ですべての機材に電源供給する・・と言うやり方もある・・とんでもなく金はかかるけどね・・

さてさて、現場の責任者としては自分のところの機材の電源を合わせたからと安心してはいけない。
まず最初にするべきことは出演者の持ち込んだアンプや楽器など・・

ギターの弾き語りでマイクに唇が触れた途端感電したと言う事例は数知れず。
PA系と、楽器系のグランドは音響が責任を持って行おう。
そもそも楽器とマイクの間で電位差があること自体大問題。演奏者は簡単に電源極性を変えたりする(アンプの裏の電源スイッチで簡単にできる)のでよくコミュニケーションを取っておきましょう。

また、大規模イベントになると録音チーム、録画チーム、放送チームが入り込んでくる。
各々の間の信号の受け渡しでまた電源の問題が絡む。特に電源車を持ち込まれるとどうやって整合を取るか、トラブルを回避するかに頭を悩ませることになるね。こういうときにトランスは重宝するね。どっからも文句の出なさそうな評判の良いトランスを数セット持っているといいかも。

まぁ、最新のノイズ対策理論から言うと今述べたグランドループの問題は低周波領域の話・・と言うことになる。
この問題の真の解決のためには機材側では電源グランド、電子回路のコモン、ケースシールドと各々を別に取り扱え、かつ、結合できる機構が必要。アメックのプリアンプなどはそれに近い設計になっている。
また、電源のグランドの独立のためには最終的に複巻トランスが必要。
さて、高周波領域のノイズ対策はまた別の機会に・・
インバータノイズはまた別の問題だし・・

うわぁ・・長かった・・もしまっとうに読んでくれたのならお疲れ様。耳からスモーク出てません?^^;;

1 件のコメント:

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    我ながら、読み返してみると長い・・

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