とあるところで、どうもどこかのアンプで歪むという話題になった・・
状況を伺ったところ、どうもミキサーのサミング歪みのようである・・
と、説明したら、私のミキサーはデジタルなので歪まないと思います・・と、言われてしまった・・
まぁ、デジタルでも歪みますよと答えたのだが・・考えてみると、このサミング歪みを明示的に回避するよいツールがないことに気がついた・・つまり、どのメーターでもチェックできないのだな・・
ミキサーとは、詰まる所サミングアンプの化け物である・・(あ!言い過ぎか・・)
で、サミングアンプとは?
日本語では加算増幅器と称す。
何のことは無い、1Vと1Vを加えると2Vになる・・と言うように算術加算的な動作をするアンプのこと。
入力ー加算抵抗ーー┐
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入力ー加算抵抗ーー┤
│
~ ┼─加算アンプーラインアンプ
│
入力ー加算抵抗ーー┘
う~ん等幅フォントなら何とか表示できるかと思うが、ずれていたら頭の中で整形してね・・
これが複雑にマトリクスされているものがミキサーの実態だな・・おまけは色々あるが・・
で、仮に16chミキサーの入力1に規定レベルの信号を入れ、出力に規定レベルが出力されるように調整してみる。
簡単だ・・全部メーターが0dbを指すようにすればよい・・
この時点では全く歪んでいないはずだ・・これで歪むようなら設計に多いに問題がある。
これを各々1~10chまで作る。
この状態で、全部のフェーダーをあげるとメインアウトのメーターは+20dbを指すことになる・・(こんなに上まで表示できるメーターが付いた機種はそうそうなかろう・・)・・まぁ20logP1/P2で信号比が10だと計算でもこうなるわけだ・・
これでは歪んでしまう・・もしくはスピーカーを飛ばしてしまう・・とばかりに、メインフェーダーを絞ることにする・・まぁ-20dbだな・・
これで、規定通り安心!と言っていいのかどうか・・だ・・
メインフェーダーはサミングアンプのあと、ラインアンプの前にある。
各入力モジュールのアンプは規定レベル内なので問題ない・・ラインアンプはフェーダーで絞った・・から、問題ない・・メーターはもちろん規定レベル・・
が・・加算アンプは?
そう・・まだ+20dbで動作しているのだ・・(動作できるものとして・・だが・・)
この加算アンプの動作を監視し、チェックできる機構が付いたミキサーは・・あるのかな? 私は寡聞にして知らない・・
対策は、10chもの入力を特定のバスラインに突っ込まないか、必要に応じて入力側の送り出しレベルを下げるしかない・・
Mackieはこの点に注目し、フルに突っ込んでも歪みにくいサミングアンプを売りにしている・・まぁ、高級ミキサーの類いはライン出力でも+28dbくらいまでは歪まずに出力できるようになっている・・ここらへんが安ミキサーと違うところだな・・当然、サミングアンプも練りに練っている・・少なくとも、ラインアンプより先に歪むわけには行かない・・
さて、デジタルアンプ。
このサミングアンプ(をシミュレートしたロジック)部分で何が起こるだろうか?
普通デジタルミキサーの場合、フルビット入出力を0dbとするなら、-16dbくらいで規定レベルとして使用するように各メーター等がセットされている。
先ほどのアナログミキサーと同じようにセットしてみよう・・
やはり1chだけなら何の問題もない。
が、10ch分加算すると+20db・・
さっき、規定を-16dbくらいにしてあると言った・・-16+20=+4・・うん?フルビットを4db分オーバーしている!
そう・・普通の入出力用のデジタル機構を使っていると完全にオーバービット!歪みまくるか音にならない・・(DC化する可能性も・・)
そこで、各社サミング演算の部分は通常の16や24ビットではなく、32や64と言ったダイナミックレンジの大きい演算が出来るように工夫しているのだ・・
で、サミング演算の部分で歪まないにしても、黙ってそのまま次のステージに送ってしまうと、ラインアンプモジュールのロジックで歪む・・これは出力のダイナミックレンジの制限があるため・・
だから、結局モジュール側を調整してやる必要がでてくる。
ご理解戴けただろうか?(もうとっくに知っていると言う方は、突っ込みを入れるかお静かに・・)
こうして考えると、サミングアンプの問題はミキサーをきっちり運用する上で極めて重要なファクターであることがご理解戴けると思う。
にも関わらず、かほど重要なサミングアンプの動作状況をモニターできる機構はない・・なじぇ?
アナログ回路の場合、オペアンプを加算アンプとして動作させるので、オペアンプの反転入力部が歪まない限りは0Vであることになっている。なら、ここに電圧を発生したらpeakLEDが付くようにしても大して金はかからないようにも思うのだけど・・如何なもんでしょうか?メーカーさん・・
さて、デジタルミキサーでも、サミング歪みの問題は大きなテーマで、故に各社不自然にならないよう後段のステージで歪まないもしくは歪んで聞こえないように各種の工夫を凝らしているのだ・・
オペレーション的には、同時に同じバスラインに加える信号数を減らすこと・不要なモジュールは絞ること・・フルアップ時にサミング歪みがでないようゲイン調整をすること・・などが要求されるわけね・・
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ヤマハのPM5000あたりでそこら辺を視野に入れた機能があったような(シグマなんちゃら)まだ使ったことがないのでどんなものか分かりませんが..
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にんじゃさうんどさん
PM5000調べてみました。
以下サイトより抜粋
新機能、バリアブルサミングゲインコントロールを搭載
各バスのマスターフェーダー手前に新機能「バリアブルサミングゲインコントロール」機能を搭載。従来、マスターフェーダー手前のサミングアンプでのクリップに対しては、インプットチャンネルフェーダーやHAを下げる以外に対応手段がありませんでした。これに対しPM5000では、サミングアンプ手前でゲインを0dB(=bypass)~-20dBの範囲でアッテネートが可能な「バリアブルサミングゲインコントロール」機能を追加。バスマスターでのクリップを気にせずに、インプットチャンネルのゲインやフェーダー位置を妥協なく設定できるため、さらに高いサウンドクオリティや操作性をキープしたオペレートを可能にします。
抜粋終り
これで、メーター監視が出来ると良いんですけどね・・
う~ん・・フラッグシップ機でようやくと言う感じかな・・情報サンクスです。