さて、何やかやと、長くなったからと話を中断してしまった例の、詰まらない理論に近い話・・
つまらなくとも現場では色々悩まされることでもあるので続けましょう。
さて、前回記載した
┌───┐
V │
│ RL
Ri │
└───┘
という回路図・・
電圧を発生する側の機材と、負荷となる機材の分岐はどこだろうか?
もちろんその間は理想的ケーブルでつながっているものとしてだ・・(例によって理想的ということは、現実にはありえないものであるという伏線は置いておく)
まぁ、もったいぶってもしょうがないので上の図で言うと、左右の幅のど真ん中で切った線が分岐線である。
│
┌─┼─┐
V │ │
│ │ RL
Ri │ │
└─┼─┘
│
発生側│負荷側
というふうになる・・
言わずもがなと思っている人も多々おられようが、現場でトラブる人が多いのでしばしのご猶予を・・
前回、アンプなどの場合はRi(内部抵抗)は、殆ど無視できるほどに小さいと言った。まして電力源たる電源やバッテリーは極めて小さい・・はず・・
が、アンプではダンピングファクターに影響するよとか言ったのだけど、
一般的な8Ωのスピーカーで、最低限のダンピングファクターを実現するには10以上が望ましいという常識が真空管アンプ時代にあった・・これはアウトプットトランスを使用する設計の場合、出力インピーダンスを下げるのが難しかったことに起因している。
現代の多段アンプではいとも簡単にインピーダンスを下げられるので、すっかり忘れ去られた記述となった。
で、今回、そう言いう古い時代のアンプだったらと考えてみよう。
ダンピングファクター10である。
だからスピーカーのインピーダンスは8Ω・・ということはダンピングファクターから逆算するとアンプの内部インピーダンスは0.8Ωとなる。
嫌だろうがだしてしまう・・
W=EI
E=IR
故に
W=I^2R
であるというところまでは前回のとおり。
計算を楽にするため、わざと8ワットの出力をアンプがだしていることにする。
W=I^2Rなので、
I^2=W/R=8/8.8=0.909
I^2=0.909
I=SQR(0.909)=0.953(SQR:平方根)
で、0.953アンペアの電流がこの回路には流れているようである。
なんでこんな半端な数字になったか・・内部抵抗を加味したからである。
ダンピングファクターから考えていくとこうなっちゃうのだ・・
これでは計算が面倒くさい・・というか理解していただきにくいので、内部抵抗とスピーカーのインピーダンスをまとめて8Ωであることにしてしまう・・と、
8=8*1/11+8*10/11というふうに10対1の関係からは、アンプとスピーカーのインピーダンス比は8Ωを1と10で分け合う形になる必要がある。
これで、1アンペアの電流として計算できるようになる。
さて、8ワットのアンプ出力であったが、スピーカーで消費されている実際の電力はいくらだろうか・・
そう、W=I^2Rなので
W=I^2R=1^2*(8*10/11)=7.27W
??
アンプは8Wを出していたはず・・
残りはどこに行ったの?
そう・・Riであるところの内部抵抗が消費してしまったのだ・・その量
8-7.27=0.73W
実にスピーカーの1/10くらいがスピーカーには伝わらず、内部で消費した計算である。
これって、まるまる熱になるのよね・・だからアンプは熱くなるのだ・・(まぁこればかりではないけれど)
この同じアンプでスピーカーを4Ωにするとどうなるだろうか・・
アンプ自体の内部インピーダンスは変え様がないので、8*1/11=0.727Ω
スピーカーが4Ωになった・・
総インピーダンスは
0.727+4=4.727Ω
アンプは相変わらず8Ωの時に8W出していた時と同じ8ボルトをだそうとしているものとする。
すると
E=IR
I=E/R=8/4.727=1.692アンペア
スピーカーでは
W=I^2R=1.692^2*4=11.451W
確かに出力は増えているけれど倍とまではいかない・・というか結構少なめ・・
一方内部抵抗で消費する電力は
W=I^2R=1.692^2*0.727=2.08W
8オームスピーカーの時は0.73Wだったのに2倍以上に増えている・・
つまり、より熱を発生する状況になったということだ・・
ぶっちゃけて言えば無駄になっているということね・・
さて、最初に記載した回路図・・現場的にはまだまだ欠けているものがある・・
そう、いつもお世話になっているケーブルだ・・
この場合問題になってくるのはスピーカーケーブル・・
図的には
│ │
┌─┼─────┼─┐
V │ │ │
│ │ │ RL
Ri │ │ │
└─┼─────┼─┘
│ ここが │
発生側│ 経路分 │負荷側
上の図ではケーブルを経路として表現している。
で、理想的ケーブルは無いといった・・つまり抵抗ゼロのケーブルはない・・よって何がしかの抵抗(インピーダンス)がある。
よって、上の図はより正しくは、
│ │
┌─┼──Rc──┼─┐
V │ │ │
│ │ │ RL
Ri │ │ │
└─┼─────┼─┘
│ ここが │
発生側│ 経路分 │負荷側
Rcをここでは経路抵抗とする・・(例によって参考書も見ないで書いているので、厳密に正しい表現であるわけではない・・また、経路抵抗は上側にだけあるわけではなく下側にもあるし、値も若干違っているはずだがここでは簡略化する)
さて、このRc・・普段であれば気にしなくて良い程少ないはずである・・アンプの内部インピーダンスに比べてさえ・・
しかし、我々の現場・・でかい会場になるとこのケーブルに因る経路ロスが無視できなくなる・・
先程、8Ωスピーカーによる内部インピーダンスの影響に比べ、4Ωスピーカーのほうが内部インピーダンスの影響を受ける度合いが大きいことを確認した。
これは全く経路ロスにも言えることで、低インピーダンススピーカーのほうがスピーカーケーブルの影響を強く受ける。したがって、カーオーディオやダブルウーハーでインピーダンスの低いスピーカーほどケーブルに対する要求は厳しい。
ましてや現代アンプは内部インピーダンスが極端に低くなっている分、ケーブルでの悪化は大きく効いてくるし、ケーブルが発熱源にもなるわけだ・・
上記の計算式を応用して計算してみて欲しい・・こういったことは自分で計算してみないと実感しないし、身にも付かないしね・・ってもはや計算する気力が失せてきたというのもあるけど・・^^;;
ケーブル以外にも端子の接触抵抗など、低インピーダンスラインであるスピーカー系ならではのトラブルがあるので、現場で泣かないようしっかりここらの理屈は身につけてほしいなと思う老婆心であった・・
��ふう・・ながくなっちったい!)
おっとっと・・計算と言っても、酔って書いているので、あまり(かなり?)厳密ではない・・端折ったところ検算していないところ多々ありなので、奇特な御仁はご訂正のほど宜しく!
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