さて、アコースティック楽器特にクラシック系のものを録音する機会は、ホール系の仕事をしていると結構ある。
そうは言っても商品レベルのものとなるとそうそうざらに機会が転がっているわけではない・・
で、あるときFlute Duoのレコーディング話が転がってきた。
う~ん・・Duoっすか・・
自慢じゃないがうちの小屋はSNが良くない・・なんせ空調が動いているとNC値で50にも迫ろうかと言うほどだ・・
時期は真夏・・
まぁ、レコーディングの間は空調を止めましょうと言うことで、引き受けることに・・
以前のレコーディングの時の話を聞いてみたらA-Bワンポイントが多いみたいで、さてどうやろうか・・
定位感と臨場感を併せ持った録音となるとMSとA-Bを併せて使うのがよくある手法。
折角ホールを使うので一番の基準を客席側に設置したワンポイントにしようと言うことでNT2ペアを客席内に。
UM92Sをヘッド突き合わせにし、一本を双指向にして2分岐し、一本を単一指向にすることで、ミキサー上でMSマイク構成にした。これは演奏者から2m弱くらい・・
さて、そのMSをはさみ、1.5m位の間隔でTC-30KをA-Bペアにして設置。
さらに3m位演奏者から離れてPCC-160を設置。
これらすべてのマイクをノイズマイク基準でディレイ処理する計画。
DA-88が2台あったのでこれを同期運転して16chとし、今までの8本のマイクすべてをいれ、さらには逆サラウンドとでも言うべき方法でサラウンド収録も行った。
これは5.1の5のスピーカー位置にマイクを立ててみようと言うやり方・・
これで13chのソース。
ディレイ処理はDA-88のディレイ機能を使いミックスダウンはあくまでミキサー上で。
その2chマスターをProToolsII(ふ・・古い!)へ送り、ノイズ処理とノーマライズを施して仕上げようと言うもの。
概ね順調に録音は進んだ・・
が、あとから青くなったのが、雷によるスパイク状のノイズ。
夕立があったので雷が鳴ったらしい・・
おまけにその夕立の音も結構ホールに・・
あと、ご当地名物の風の音にも悩まされた・・
デノイズソフトの類い・・確かにある程度ノイズは落せるが、音が変ってしまうのよね・・ましてProToolsIIの時代のデノイズソフトは結構顕著にでる。
折角の生フルート・・あまりいじりたくは無いよなぁと・・気を使ったのだ・・
今ならTracktionを使うし、PowerCoreのデノイズを使えるのだけれど・・当時はなかった・・
さて、録音系としては確かにこれで出来た・・
が、どうも生音の響きがスムーズでない・・
これがうちの小屋の欠点ね・・舞台上の音とホールの音がシームレスとは行かないのよ・・その境目はMSとA-Bを設置したあたりなので特に良く聞こえる。
そこで仮想反射板システムのお出まし。
これによって演奏者への一次反射とホールと舞台との響きの結合を行ったら、良い感じに仕上がってきた。
そう、仮装反射板システムはこういうニーズでも使えるのだな・・
どんなに優れたリバーブマシンがあろうと、やはり生の音自体が気持ち良くつながらないと集音した音にも影響が出る。
ここで、建築音響の限界を若干なりとも突破できると楽になるのよね・・
気力があるときにこのシステムの続きを書くので、使えるようならご参考まで・・
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波形を見ていて特徴的だと思ったのだけど、片波になることが多いのよね・・
うちの小屋の電源は、地下の高圧トランスから、動力系と電灯系で別トランスで分かれる形式。
照明は高圧部分から別。
また、2本の避雷針が設置されていて、これはもちろん直で地中に・・
その所為か通常の使用では雷は問題になることはない・・が、さすがにゲインを上げる録音ではしっかり記録されていた・・
やはり地中電位が急激に片側にシフトした・・と考えるべきなんだろうなぁ・・