さて、前回のワットの話ではアンプの途中で一旦切り上げたと思う。
スピーカーもさることながら、アンプの理解が電源との絡みでは切り離せない。
前回、スピーカーを駆動している電気、電力は電源から来ているのだと解説した。
で、その電源。
ちょっと前まではトランスとダイオード、そして大容量コンデンサーによる整流回路が一般的だった。
アンプに要求されるような大容量高電圧のスイッチング電源ができなかったということが大きかった。
で、その元も一般的な電源回路・・今でも比較的安価なパワーアンプではごくごく普通に使われている。
パワーアンプが取り扱うのは音楽信号なのでモーターを駆動するのとは分けが違う・・常に変化する電力で、しかも余裕が大きいことが重宝される。
スピーカーを飛ばす一番の原因はアンプのクリップ。だから300ワットの耐入力(この耐入力と言う言葉もよく注意しておいてね)のスピーカーに瞬間的に1000ワット入っても歪まなければ意外に飛ばないものだ。
逆に言うと、ヘビメタガンガンのクリップ点きまくり状態でもトータルでの電力要求量はスピーカーに供給されている瞬間エネルギーからするとかなり下回ることになることが多い・・もちろんそれをも越えてフルドライブさせることは可能だが、おそらくスピーカーが堪えられないだろう・・
で、8Ωドライブ1000Wクラスのアンプでも表示消費電力は2000ワットなどと言うことはなくて1500ワットくらいになることが多い。昔の大喰らいアンプの典型amcronのMAシリーズなんかでもカタログでは30A位を要求しているのだが、存外その程度・・
実際に消費電力をリアルタイムに計測していてもバスドラが一発程度では変動はしないものだ・・ベースだと増えだすかな?
これは電源回路の大容量コンデンサーに起因する。
諸兄も音がでた状態でアンプ電源を落してもちょっとの間音がで続ける現象は気がついたことがあるだろう・・これがコンデンサーに溜まっていた電気の効果。
この現象が瞬間的な大音量の時の消費電力を下支えしてくれる。
つまり、瞬間的な消費電力の増加分を、コンデンサーに溜めていた電力が賄ってくれるので、すぐに消費電力の増加には結びつかないというわけだ・・
よってトータルでのアンプの消費電力は少なめに抑えられている。
これは現代のスイッチング電源では更に巧妙になり、かなりの平均出力であっても、効率的に電源を処理できる。
よって軽量、大出力、低消費電力というエコ時代にふさわしいアンプが流通することとなった。
もっとも、そういう高効率アンプはそれなりのお値段がするのだけれど・・
そこで、再度整理!
スピーカーの耐入力(例えば連続1600ワットなど・・)と、使用するアンプの出力はあまり関係がない。出せる音圧はスピーカーの耐入力かアンプの定格出力の瞬間2倍までのどちらか大きい方の出力をアンプが出している場合のスピーカーの効率次第。
単純計算するとスピーカーの能率(db/m/w)に、加えた電力分の増加分を足したもの。リニアリティが良いスピーカーなら10Wで10db、100Wで20db加えられたものだが、リニアリティの良くないスピーカーは沢山存在するので、最大音圧と言う項目と耐入力で計算してみるよろし・・
ちなみに計算式は
(10×log(加えたワット数))+スピーカーの能率
で簡易に求められる。エクセル等でお試しを・・logは自然対数ではなく常用対数ね・・
簡易には2倍(ワットとしても結構)の出力を加えたら3db、4倍なら6db、10倍なら10db、100倍は10倍×10倍で20dbを加えればよろし。
スピーカーとアンプの組合せを増強する場合も同じね。2台(2対向でも)なら3db増え、4台なら6db増える。
もっとも、これは一般的なスピーカーボックスの積みあげの時で、ラインアレイやボックス内で密結合した配列のスピーカーだと2台で6dbという場合もないわけではないが、通常のアレイングではあまり意味がないし、ラインアレイではシステム化されて性能表示されているのでここでは無視しよう。
ということで、自分が使用する予定のシステムの総使用電力はまずアンプのカタログから算出するのが一番。
瞬間的には2倍近く消費するにしても、音楽信号の場合はまずブレーカーは動作しない。
むしろ問題は発電機を使用している場合で、こいつは瞬間的な負荷変動にはめっぽう弱い・・
よって、使用するであろう瞬間使用電力の2倍程度の能力のものを使うのが無難。よって定格電力では4倍換算。
これは瞬間使用電力をその発電機の負荷能力の半分程度に納めた方が安定的に運転できるため。
もっとも、管理人は小屋仕事が多いので発電機についてはもっと使用経験の多い方のご意見を伺いたいものだ。まぁ私流のリスクマネージメントと思っていただきたい。
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